2019年 12月 16日 (月)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
吉本・ジャニーズ報道に見る、ネットとテレビの影響力

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   芸能事務所が最近話題になっている。ジャニーズ事務所と吉本興業だ。

   ジャニーズ事務所は、元SMAPの3人についてテレビ局に圧力をかけて出演させなかった疑いで公正取引委員会から注意を受けたという報道だ。

   吉本興業は、もともと宮迫らの「闇営業」の問題が発端だ。「闇営業」が反社会勢力と結びついている場合には重大問題で言い逃れは許されない。しかし、宮迫、田村両芸人が謝罪会見をしようとしたところ、吉本興業から待ったがかかり、その釈明に吉本興業社長が会見したが、それが問題外のひどさで、芸能事務所の芸人に対する強圧的な態度だけが浮き彫りになった。

   いずれも、芸能事務所が、独占的な力を持ちすぎていることが問題の本質になっている。

  • 宮迫・田村両氏の会見はネット中継された(7月20日、J-CASTニュース編集部撮影)
    宮迫・田村両氏の会見はネット中継された(7月20日、J-CASTニュース編集部撮影)

宮迫・田村会見はネット中継された

   ジャニーズの件は、NHK報道より明らかになった。公取委の対応は、行政処分、警告、注意の3段階があり、前者のほうが重い処分だ。注意は独禁法違反に至らないので最も軽い処分だ。公取委が発表するものでないが、関係者の間では周知の話だろう。その点からみれば、民放テレビ局は事実としては知っていたはずなのに、NHKから報道されたという事実は、ジャニーズ事務所が民放各局に大きな影響力があることを間接的に示唆している。

   ジャニーズ事務所は、NHK報道後に「弊社がテレビ局に圧力などをかけた事実はない」という声明を出しているが、これを額面通りに受け取る人はいないだろう。こうしてみると、ジャニーズ事務所のパワーは、ジャニー喜多川社長が亡くなったといえども、今のところ陰りはないのだろう。テレビから排除された元SMAPの3人は、ネット番組に出ているが、やはりテレビの影響力が大きいと言わざるを得ない。

   吉本興業の場合、もともと反社会勢力への闇営業という芸人にとって言い訳のできないミスであるが、なぜか世間は吉本興業のパワハラ、駄目さに議論が進んでいる。しかも、宮迫、田村の両芸人が独自に開いた会見がネットで生中継され、それをテレビ番組が録画で後追いしているのは興味深い。

   この場合、ネット配信がテレビを凌駕している。そうなってくると、吉本興業は、お笑い分野で圧倒的な力がありテレビに影響力を行使できるという優越的な地位があるが、それも危なくなってくる。芸人にとって、テレビでの露出がなくなっても、ネット番組で食っていけるとなると、吉本興業との力関係は逆転する可能性もある。

新技術・新市場が「既存の独占力」を削ぐ

   ジャニーズのビジネスモデルでは依然としてテレビの力は大きいが、お笑い分野では必ずしもそうでないこともあり得る。そうではなく、ジャニーズのタレントと吉本興業の芸人との間で、結束力の差があるだけかもしれないが。

   ただし、今回の吉本興業の件では、ネット番組が思いのほかテレビの代替になることがわかった。吉本興業もテレビへの影響力が大きいが、さすがにジャニーズの件で公取が注意したので、露骨に圧力をかけられるはずはない。この点も、吉本興業に不利に働いている。

   公取としても、テレビの代替としてネット番組があるのは、優越的な地位の力を弱めるので歓迎のはずだ。やはり新しい技術や新しい市場があると、既存のスーパーパワーの独占力がそがれるというこれまでの歴史が繰り返されるだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「安倍政権『徹底査定』」(悟空出版)、「『バカ』を一撃で倒すニッポンの大正解」(ビジネス社)など。


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