2024年 5月 8日 (水)

大手マスコミもジャパンライフと「接点」 紙面掲載や顧問就任...当事者らに見解を聞く

   首相主催の「桜を見る会」を巡る問題で、大手マスコミに対しても、警察の捜査を受けるジャパンライフと接点があったとして、ネット上で疑問や批判が相次いでいる。

   国の業務停止命令後も、通販事業部名の商品記事を載せたりしていたからだ。同社との認識がなかったと説明する新聞社もあるが、理解は得られるのだろうか。

  • 商品記事の掲載などをPRしたジャパンライフ(すでに倒産)のサイト
    商品記事の掲載などをPRしたジャパンライフ(すでに倒産)のサイト
  • 商品記事の掲載などをPRしたジャパンライフ(すでに倒産)のサイト

記事の掲載を宣伝に利用

   磁気治療器などのマルチ商法をしていたジャパンライフは、特定商取引法違反などで2016年12月に消費者庁から業務停止命令を出された。その後も、3回にわたって命令が出されるなど、社会問題になりつつあった。

   被害者も増えていたが、新聞やテレビでは、その間も、ジャパンライフの商品情報やCMを流し続けた。

   同社には、マトリックスワールドという名の通販事業があり、朝日新聞は、2017年9月29日付夕刊で、ジャパンライフの名前はなかったが、マトリックスワールドのシャンプー商品として読者プレゼントの小さな記事を出した。ジャパンライフは、この記事をサイト上で紹介するなど、被害者向けの宣伝に使い、このほかにも朝日の記事に商品などが取り上げられたとサイトに載せていた。

   東京新聞も、同年10月13日付朝刊で、同じシャンプーの読者プレゼント記事を載せ、ジャパンライフは同様に、東京新聞には他の紹介記事もあるとして、宣伝に活用していた。別の大手新聞も、同様な記事を載せている。

   さらに、朝日新聞では、退職した元政治部長の橘優氏が2014年か15年ごろから17年7月までジャパンライフの顧問となり、同社の会社案内にも載っていたことが、ネット上で話題になっている。橘氏は、17年1月27日の大物政治家を囲んだジャパンライフの山口隆祥元会長主催の懇親会に、他の大手マスコミ幹部ら数人とともに参加し、ジャパンライフは、被害者向けの宣伝資料で、橘氏を元朝日新聞文化財団常務理事とするなどして幹部らの参加を顔写真付きで紹介していた。

「行政処分後に紹介したことは申し訳ない」

   朝日新聞の広報部は4日、J-CASTニュースの取材に対し、マトリックスワールドの商品記事は、確認できた範囲では、東京本社発行版で2010年7月8日から17年9月29日付夕刊まで計15回、プレゼントコーナーで掲載したとして、こうコメントした。

「掲載の経緯については確認できておりませんが、行政処分を受けた後に紙面で紹介したことは申し訳なく思っております」

   橘氏は、社内で文化財団常務理事などを経て、ジャパンライフ顧問になる前の11年に退職しており、顧問だったかどうかは把握していないとした。「17年1月の懇親会で弊紙の名前が宣伝に使われたかどうかは承知しておりませんが、事実とすれば遺憾に思います」とも答えた。

   一方、東京新聞編集局は6日、プレゼントコーナーへの記事掲載について、こうコメントした。

「2016年12月以降、マトリックスワールドがジャパンライフの通販事業部との認識がないままに、商品を情報欄の読者プレゼントコーナーに8回掲載しました。なお、ジャパンライフが3度目の業務停止命令を受けた2017年11月以降、マトリックスワールドの商品の掲載はありません」

   東京新聞は、12月2日の官房長官会見で、安倍首相が桜を見る会に山口元会長を呼んだかどうかを記者がただす質問をしたことがネット上で波紋を呼び、「一体どの口で安倍総理を批判しているのか」などと疑問の声も出ていた。

   記者がジャパンライフを疑問視するような質問をしたことについては、「官房長官記者会見で、『桜を見る会』にジャパンライフの元会長が招待された問題を問いただすのは、通常の取材です」と説明している。

顧問だった朝日元政治部長が取材に答えた

   朝日新聞元政治部長の橘優氏は12月10日、なぜジャパンライフの顧問を引き受けたかについて、J-CASTニュースの取材にこう説明した。

「山口元会長は、政界に顔の広い方で、政治家を取材するとその場にいることが多く、お互いに知っていました。文化や福祉などの活動をする日本文化協会のスポンサーになったとき、協会の代表理事を引き受けるよう声をかけられ、協会は報酬がないので報酬のあるジャパンライフの顧問にならないかと言われました。私は、視覚障害者の写真コンクールなどを手がける協会の文化事業に興味を持ち、いいですよと引き受けることにしました。形式的な顧問でしたので、会社の事業のことは知りませんでした」

   2017年1月27日の大物政治家を囲んだ懇親会については、橘氏が他の大手マスコミ幹部ら数人全員に声をかけたという。食事会の費用は、山口元会長が出し、橘氏らは支払わなかった。ただ、ジャパンライフの宣伝資料に顔写真などが使われたことは知らなかったとした。自らが会社案内に出ていたことも知らなかったという。

   ジャパンライフに16年12月に業務停止命令が出たときは、そのことに気づかず、事業内容などを知ったのは、17年11月に3回目の停止命令が出たなどと報じたNHKニュースを見てからだったと説明した。

「その後、記者仲間からジャパンライフのパンフレットに顔写真入りで懇親会のことが出ていることを聞き、私が誘った人たちと連名で山口元会長に抗議文を出しました。勝手に名前などが使われたことは心外であり、使われるとは思っていませんでしたので遺憾に思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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