2024年 4月 19日 (金)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「過去最大」100兆円予算、なぜマスコミの論調が似ているのか

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   2020年度当初予算案について、マスコミの評価はよくない。

   新聞各紙の社説のタイトルをみると、次の通りだ。

朝日新聞「100兆円超予算 健全化遠い実態直視を
毎日新聞「過去最大の102兆円予算 『身の丈』に合わぬ放漫さ
読売新聞「20年度予算案 『100兆円』は持続可能なのか
日経新聞「財政の持続性に不安残す来年度予算案
産経新聞「来年度予算案 歳出の改革は置き去りか

   NHKの報道でも、「来年度予算案 過去最大の102兆円超 歳出膨張に歯止めかからず」としている。いずれも、これでは財政再建できないという点で似た主張である。ここまでマスコミ論調が似ているのは奇妙でもある。

  • 来年度予算案が決まった
    来年度予算案が決まった
  • 来年度予算案が決まった

2020年度予算の歳出総額は102兆6580億円

   筆者が大蔵官僚の時代には、来年度予算について課長補佐クラスか課長クラスが各紙の論説委員のところに、エンバーゴ(情報解禁日時)付きの資料をもって事前に説明していた。その後、各社の社説がでると、大蔵省幹部が説明に行った課長補佐クラスか課長クラスを全員集めて、各社の社説を論評したものだ。「この社説はよく書けているな、この社説はダメだ」。もちろん大蔵省の意向に沿っている社説が「よく書けている」と評価されるわけだが、同時に課長補佐クラスか課長クラスも、どこまでマスコミを丸め込んだかという「仕事ぶり」も評価されているのだ。

   おそらく今でも似たような方法で、マスコミに対して事前レクを財務官僚はしているのだろうか。だとすれば、各紙論調が似ているのは事前レクのためではないかと邪推してしまう。その際、予算の膨張や財政再建の遅れを批判してもかまわないと財務官僚が説明したら、それこそ各紙はそのように社説を書くのではないだろうか。

   来年度予算の歳出総額は102兆6580億円で過去最大の予算というが、世界の先進国でデフレになったのは日本だけだが、デフレでもなければ、名目値である予算が毎年伸びるのは当然であり、その意味で過去最大もおかしくない。これを問題視するのは、デフレ思考でもある。

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