2020年 8月 10日 (月)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 大統領弾劾で、福音派は背を向けたのか

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   「Impeachment(弾劾)」――。件名にこう書かれたメールが、2019年12月19日に私のもとに届いた。トランプ嫌いのアメリカ人の知人(70代)からだった。メールに添付された画像は7枚とも、「トランプ弾劾」と大見出しが踊る全米有力紙の一面のトップ記事だった。

    彼女から間髪入れずに届いた次のメールには、「Top Evangelical Magazine Calls for Trump's Removal From Office(福音派の有力誌、トランプの罷免求める)」と題する記事が添付されていた。米キリスト教福音派の「クリスチャニティ・トゥデイ」誌が、米議会上院での弾劾裁判でトランプ氏を罷免すべきだと訴えた論評について書かれたものだ。

   トランプ氏が大統領に就任した2017年1月の翌月、フロリダ州ダニーデンに、その知人を訪ねた時のことを思い出した。この連載「岡田光世『トランプのアメリカ』で暮らす人たち」を執筆していると、隣に住むジェリー(70代女性)に知人が私を紹介した。

   ジェリーが「反トランプ」だと信じ切っていた知人は、彼女が実は夫ともどもトランプ氏を熱烈に支持するキリスト教福音派であり、私が一緒にメガチャーチの礼拝に参加したとあとで知り、大きな衝撃を受けていた。

   知人から送られてきたどちらのメールも、本文には何も書かれていなかったが、鬼の首を取ったような本人の顔が浮かんだ。

  • 福音派の教会のひとつカルバリー・チャーチのホームページ
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福音派有力誌がトランプ罷免求める論評

   2019年12月18日、民主党主導の米下院本会議は、トランプ大統領の弾劾訴追決議案を可決した。このあと、上院で弾劾裁判が行われることになるが、上院は共和党が多数を占めており、有罪となる可能性は低いと見られている。

   訴追条項は、バイデン前副大統領とその息子が関わる、ウクライナの企業とのスキャンダルを捜査するように、同国大統領に要請したこと。さらに下院の弾劾調査中、行政機関や政府職員に対し、証人喚問や書類提出などの協力を拒否するように命じたことだ。バイデン氏は、2020年大統領選の民主党候補であり、トランプ氏のライバルとなり得る。

   「クリスチャニティ・トゥデイ」の先の論評で執筆者のマーク・ガリ編集長は、トランプ氏はウクライナ疑惑をめぐり、「憲法に違反し、道徳にも大きく反した」と厳しく批判している。同氏はその後のインタビューで、「自分の論調に反対する福音派は、『極右』だ」と非難した。

   「クリスチャニティ・トゥデイ」誌は12月22日にも、トランプ氏批判の記事を掲載した。同誌のティモシー・ダルリンプル社長が、「私たちの大切な理念のために、いろいろ 貢献してくれた」とトランプ氏を評価したものの、福音派がトランプ氏を受け入れることは、同氏の「甚だしい不道徳、強欲、汚職、対立を生む言動、人種攻撃、移民や難民に対する残酷さや敵意に縛り付けられることを意味する」と主張。大統領への忠誠心についてよく考えるように、と信者らに忠告した。

   キリスト教福音派は、プロテスタントのなかでも保守的な右派で、聖書原典の内容を完全に正しいものと解釈する人も多い。米人口の4分の1を占め、トランプ氏の強い支持基盤であることから、同氏の罷免を望む人たちは「福音派もついに目が覚めたようだ」、「福音派にもまともな人がいたらしい」と、口をそろえる。

   マスコミはこぞって、「福音派がトランプに背を向けた」、「これから起きることの兆候」と報道。「クリスチャニティ・トゥデイ」の論評を勇気ある行為と称賛した。

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