2020年 9月 29日 (火)

海老蔵「熱い風呂」・中部大「アオサ」情報を識者否定 新型コロナめぐり怪情報

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   新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中、インターネット上では真偽不明の予防法が多数出回っている。

   歌舞伎役者の市川海老蔵さんはブログで、新型コロナウイルスは熱に弱いため、お湯の飲用や運動、熱い風呂への入浴などが効果的だと勧めた。

   中部大学(愛知県春日井市)は、海藻のアオサがヒトコロナウイルスの増殖を抑える効果があり、「新型コロナウイルスでの効果にも期待」と公式サイトで発表した。

   いずれの言説も口コミやメディアによって広く流布されたが、J-CASTニュースの取材に専門家は「証明されていない」と切り捨てる。海老蔵さんのブロブも中部大学のサイトも、現在では該当内容を削除している。

  • 新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 (国立感染症研究所提供)
    新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 (国立感染症研究所提供)
  • 新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 (国立感染症研究所提供)

海老蔵さんブログで「知り合いから 参考程度に」

   歌舞伎役者の市川海老蔵さんは2020年2月25日、「知り合いから 参考程度に」と題したブログを更新した(現在は削除済み)。

   医療従事者や中国の知人からの伝聞情報として、新型コロナウイルスは「耐熱性に乏しく、26―27度の温度で殺傷」すると紹介。そのため、(1)お湯やカテキン入りのお茶を飲む(2)体温より熱い風呂に入る(3)生姜、ニンニク、唐辛子、胡椒をたくさん食べる(4)運動する――などの対策が有効だとアドバイスした。

   ニュースサイト「しらべぇ」は同日、「市川海老蔵、医療関係者から聞いた新型コロナ予防策明かし反響」(現在は削除済み)との記事でブログを好意的に取り上げ、風説はブログの外にも広がった。

   しかし、海老蔵さんが発信した情報は根拠不明だ。上本町わたなべクリニック(大阪市)の渡邊章範(たかのり)院長は25日、J-CASTニュースの取材に、

「ウイルスは、一般的に15分から20分の煮沸で死滅します。26―27度では死滅しません」

と書き込みを否定。いずれの対策も科学的に証明されていないという。

   この情報は、ツイッターや無料通信アプリ「LINE」でも拡散していた。ブログが投稿される数日前から出回っていたため、海老蔵さんはネット上の情報か知人からのメッセージを転載したとみられる。

中部大、当初「新型コロナウイルスでの効果にも期待」

   中部大は20日、「海藻の『あおさ』にヒトコロナウイルス増殖抑制効果を確認 ─新型コロナウイルスでの効果にも期待」との研究データを発表した。

   研究は、同大の河原敏男教授(生命健康科学部)、林京子客員教授(工学研究科)とともに、アオサから抽出したラムナン硫酸を使った健康食品を販売する「江南化工」、ラムナンを研究する「ラムナン研究所」が関わる。林氏はラムナン研究所の学術委員も務める。

   発表では、「海藻の『あおさ』にヒトコロナウイルスの抗体を増やす効果があることを確認した。あおさに含まれるラムナン硫酸を培養したウイルスに接触させたところ、高い抗ウイルス活性を示した」とし、さらに「ヒトからヒトに感染するヒトコロナウイルスと新型コロナウイルスの構造は類似しており、新型にもラムナン硫酸の効果があると期待している」と、新型コロナウイルスの感染予防にアオサが効果的だと暗に示した。

   実験ではヒトコロナウイルスではなく、「エンベロープとRNAを持つ」A型インフルエンザウイルスを代わりに使い、感染したマウスにラムナン硫酸を与えた。すると、3日後にウイルス量が半減し、7日後には抗体が約1.5倍に増えたという。

   これらの研究結果は論文にまとめる予定で、「今後、新型コロナウイルスの性質を調査中の医療機関と協力し、ラムナン硫酸の効果を検討したい」「コロナウイルス対策に特化した商品の開発も視野に入れる」と伝えた。

   あくまでインフルエンザウイルスの動物感染実験で、論文にもなっていないが、発表では「新型(コロナウイルス)」の単語が6回も登場する。

アオサが爆売れ、関連企業の株価急騰

   中部大の発表は、地方紙「琉球新報」が「アオサがヒトコロナウイルスを抑制 『新型』へも効果期待 中部大チーム確認」(25日付電子版、「女性自身」「47NEWS」にも転載)と取り上げるなど反響を呼んだ。

   通販サイト「楽天市場」ではアオサの完売が目立ち、「一部の報道に伴いご注文が込み合っている為、配送の遅れが発生しています」と案内する出品者もいた。

   海苔製造大手「大森屋」の株価は思惑買いで急騰し、25日の終値は昨年来高値の831円(前日比2.97%高)を付けた。

   消費者行動と株価に大きな影響を与えた今回の発表だが、前述の渡邊氏は「そもそも人のインフルエンザは、マウスの自然宿主ではないこと、ラムナン硫酸の投与量が書かれていないこと、抗体が多くできているというがどれくらいの規模で研究がおこなわれたのかが不明なため、この研究自身の信ぴょう性はわかりません」とした上で、

「インフルエンザの研究で、新型コロナに効くかもしれないとは、大学のやることではありません」

と倫理面を疑問視する。

中部大「意図した内容と違う捉え方をされた」

   中部大の発表は、26日までに公式サイトから削除された。

   同大の広報部は取材に「意図した内容と違う捉え方をされて、皆様に広がっている」「うちとしても新型コロナ(に効果があると)の裏付けは取れておらず、これでは嘘になってしまうので取り下げさせていただきました」と削除理由を説明。今後の対応については「打ち合わせ等をして検討しております」と話した。

   河原教授、江南化工、ラムナン研究所に(1)研究の詳細(2)研究結果に再現性はあるか(3)研究資金の授受の有無(3)消費者の誤解を招いたことへの受け止め――などを尋ねたが、いずれも期日までに回答はなかった。回答があり次第、追記する。

   ※琉球新報の記事は、配信から約1日半後の26日17時46分に、「中部大学は2020年2月25日、『世界的に拡大している新型コロナウイルスに効果があると、リリースの内容と違う形で受け止められている』として、当該リリースをホームページから削除しました」と追記された。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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