2020年 4月 4日 (土)

農水省「攻めた」ネット発信、広報担当者が明かす戦略 新型コロナに即応、SNSで人気呼ぶ

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   新型コロナウイルスの影響で消費が落ち込む中、牛乳や花卉(かき)類などの利用を促す農林水産省の情報発信が反響を呼んでいる。48万回以上再生され、「シュール」と話題を呼んだYouTubeの動画をはじめ、ツイッター、フェイスブックへの投稿でも拡散。

   内容は、小中高校の一斉休校要請やイベント自粛要請などの影響で需要が下がった花卉(かき)類や牛乳などの消費を呼びかけるもの。農水省大臣官房広報評価課広報室は取材に「世間で話題の事柄に絡めるなど、より見やすく、届きやすくするといったことは意識している」と話す。

  • BUZZ MAFFの動画「農水省から皆様へのお知らせ」より
    BUZZ MAFFの動画「農水省から皆様へのお知らせ」より

花、牛乳、給食などの消費促進

   2020年3月に入り、農水省の発信が活発だ。卒業式や送別会などの需要が低下している花卉については6日、消費拡大を図る「花いっぱいプロジェクト」を開始。同省サイトによると、イベント自粛で余剰が生じた生産者と連携し、ホワイトデーの贈答や、家庭・職場での飾り、自治体や関係団体での展示などを呼びかける。

   ウェブサイトに限らずSNS発信も積極的だ。フェイスブックでは12日、職員らがコサージュなどで実際に花を活用している写真を掲載。コミカルで親しみやすい雰囲気となっている。

   ここに登場するのは農水省公式YouTubeチャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」のメンバー。同チャンネルは12日に公開した動画「農水省から皆様へのお知らせ」が話題を呼んだ。「花いっぱいプロジェクト」への協力を、2人の職員が淡々とした口調で呼びかけているのだが、ところどころで一瞬画面が切り替わり、戻ってくると花がどんどん増殖。最後には2人の姿がほとんど見えなくなるほど花に囲まれ、1人はなぜかサングラスをかけはじめるという「シュールさ」が反響を集め、約50万回(17日夕時点)再生されるヒットとなった。

   食料についてはツイッターで2日に連投。「食料品は不足していません!」として、新型コロナウイルスの影響で特定の食品が品薄となっている混乱に歯止めをかけようとするメッセージを発信し、7000回リツイート(RT)された。一斉休校に伴う給食の休止で需要が下がったことと受けた、「牛乳乳製品の消費にご協力ください」という呼びかけも2万7000回RT。「ハレの日には国産牛肉を!」として、卒業式や送別会が中止・縮小されても、家庭でのお祝い用に勧めた投稿も2000回RTされた。

   なお16日には、給食関係事業者を支援するさらなる取り組みも。給食休止で在庫が増えた食品の販路拡大を目的に、「食べて応援学校給食キャンペーン」の特設通販サイトがオープンした。サイトは食文化(本社・東京都中央区)が運営する「うまいもんドットコム」で開設し、農水省はサイト運営費や配送料の支援などを行っている。

「職員自らの個性を生かし、所掌分野にとらわれない」

   一連の情報発信はツイッター上でも「農水省公式、最近攻めてるようだ」「どこにいても、どんな立場でも、面白いことは出来るのだなあ」といった声があり、にわかに関心が集まっているようだ。

   「余剰が出ていることを受け、各作物の原課が業界から話を聞いたところ、積極的に食べたり飲んだり、消費してほしいという声がありましたので、ネットを活用して多角的に発信しています」と話すのは、農水省大臣官房広報評価課広報室の月岡直明氏。YouTube、ツイッター、フェイスブックという大きく3つのチャンネルはそれぞれ違った意識で使っているという。

   先述の動画で知名度があがったYouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」については、花いっぱいプロジェクト開始に合わせて参画を呼びかけ、積極的に発信を呼びかけている。

「農水省の取り組みなので、農林水産業に関心をもってもらおうという意図はあります。一方で、単純に施策情報だけを発信しても、なかなか興味をもって見てもらえません。我々としてはこのチャンネルは、職員自らの個性を生かす形で、かつ所掌分野にとらわれないやり方をとっています。

たとえば緑茶の情報であれば、直接の担当部局に所属していなくても、お茶が好きでスイーツめぐりをしているといった趣味嗜好を生かせる職員に協力してもらっています。地域別にも、東北農政局なら東北の食材だけで、本来は外国産の食材で作る料理を再現するといった特徴を出すようにしますね」(月岡氏)

   江藤拓農水相(59)が19年9月に就任した際、「これからはインターネットでの発信が大事になる。何かできないか」と事務方に投げかけがあったという。農水省のYouTube公式チャンネルは既にあったが、「新たに職員個人の個性やスキルを生かして、性格の違う情報発信をしていこう」と開設。「スタートの時点から自分で考え、どうすれば関心を持ってもらえるかという観点で動画を作っており、今までと違うスタンスでの情報発信になっています。それが今ネットで拡散されるようになってきている」と月岡氏は話す。

「蘇」にも反応、「世間の話題は意識」

   ツイッターについては「世間で話題になっているテーマと少し絡めることを意識しています。牛乳でしたら『蘇』の話題があったので、過去に農水省で取り上げた蘇のことをもう一度載せるなどしました」という。

   古代食で乳の保存のためにも作られたとされる「蘇」は、3月初旬にツイッターで認知度が上昇。そのきっかけを作ったユーザーの1人の投稿を農水省も4日、「牛乳料理をしながら歴史のお勉強もいいですね」と引用すると、約4000回RTされた。「農林水産省にRTされてるのはさすがに草」などと反響を呼び、同省は蘇を紹介していた17年11月の農水省フェイスブックも再掲した。

「通常は粛々と施策の情報を発信していますが、今は新型コロナウイルスの影響で状況が状況だけに、どうにか皆さんに消費してほしいと思っておりますので、ネット上の動向を見つつそれに合わせて発信しています。

農水省のウェブサイトにも情報は掲載していますが、それだけではなかなか届きません。『食料品は不足していません』の投稿もそうですが、ツイッターは短い言葉で大事なメッセージをどう伝えるか。そこは載せる際に担当部局と相談しながら行っています」

   一般ユーザー目線を大事にするとともに、生産者の要望、さらに省内でも横の連携を大事にしているというわけだ。確かにウェブサイトには「新型コロナウイルス感染症について」のページで、国民向け、農林漁業者向け、酪農家向けなどに項目を分けながら情報を一元管理しているが、情報量がかなり多い。

   フェイスブックでは2日、このうち「牛乳乳製品の消費にご協力ください」「お家やオフィスに花を飾ってみませんか?」といった一言メッセージのみを集約して投稿しており、これも大きくシェアされた。「ツイッターは短文で速報性重視、フェイスブックは写真を使いながら、ウェブサイトの大事な要素を説明する、といったイメージです」と月岡氏は言う。

   そのうえで「消費が実際にどれだけ増えているかは把握できていませんが、YouTubeチャンネル登録者数の伸び、ツイッターの拡散は追っています。関心を持たれているとは思いますので、実体的な施策をしっかり進めて、情報発信に努めます」と話していた。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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