2024年 4月 26日 (金)

100日後に死ぬワニ「デマ」検証 連載前に打ち合わせ?ツイッター工作?宣伝記事?作者側は...

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   「やっぱり電通案件だった」「ランサーズも絡んでたんですね」「やってることは直球のステマ(ステルスマーケティング)なんで本当に嫌いになったわ」――。きくちゆうきさんの4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』をめぐり、インターネット上で憶測にもとづく心ない書き込みが広がっている。

   連載当初から多くの人を惹きつけ、2020年3月20日の完結では感動を呼んだが、その後、作品の評価と関係ない点で批判を集めている。

   きくちさんのマネジメント会社「ベイシカ」(東京都港区)は、拡散している内容は事実無根だとして「デマはたくさんありすぎて、もはや全てを把握し切れていません」と肩を落とす。

  • 「100日後に死ぬワニ」公式ツイッターより
    「100日後に死ぬワニ」公式ツイッターより
  • 誤情報に基づく投稿の一例(一部加工)
    誤情報に基づく投稿の一例(一部加工)
  • 「100日後に死ぬワニ」公式ツイッターより
  • 誤情報に基づく投稿の一例(一部加工)

本人「電通さんは絡んでない」と否定も...

   19年12月からツイッターで連載が始まった「100日後に死ぬワニ」。主人公のワニを中心とした日常生活を描きながら、「死まであと○日」のカウントダウンが進む異色の設定だ。

   20年3月20日で100日目を迎えて完結し、「切ないが、、ありがとう」「1日1日を大切に生きよう」と好意的な感想が多数寄せられた。ベイシカによれば、最終話の投稿のエンゲージメント(「いいね」「リツイート」など)は2億回を超えたという。

   しかし、その直後に風向きが変わる。最終話を投稿して間もなく、書籍化、映画化、人気音楽グループ「いきものががり」とのコラボレーションなどが次々と発表され、急なビジネス展開に失望する声が少なくなかった。

   さらに、「いきものがかり」コラボ企画のクレジットをきっかけに、広告代理店「電通」がプロジェクト全体に関わっているとの噂もたち、「電通案件」がツイッターのトレンド入りした。

   きくちさんと「いきものががり」の水野良樹さんは21日、ツイッターの動画配信で「電通案件なんて出てますけど大きな誤解で、電通さんは絡んでない」と強く否定するも、疑惑は完全に消えなかった。

電通の関連会社と打ち合わせ?→直撃すると...

   本人が否定してもなお、一部が「電通案件」と主張する根拠の一つに、きくちさんが連載直前の19年12月に投稿したツイートが挙げられている。

   東京都内にある駅の写真とともに、「打ち合わせしてきた」と報告した何気ない内容だが、社名に「電通」が含まれる企業が駅の周辺にあるため、電通の関連会社と連載当初に打ち合わせをしていた――との推測だ。

   だが、電通広報部はJ-CASTニュースの取材に、同社とは「関係はない」と否定。この会社の登記簿を取り寄せると、電気部品のメーカーだった。

   プロジェクトへの関与についても限定的だと強調する。「当社は本件の仕掛け人のような立場ではない。いきものがかりさんのミュージックビデオのみ、仕事として一部関わらせていただいた」(広報部)

ランサーズの「ステマ」憶測は...?

   そのほか、広告だと隠して宣伝する「ステルスマーケティング」(ステマ)を行い、話題は作られたものだった――とのうわさも拡散している。

   根拠として、(1)クラウドソーシングサイト「ランサーズ」で、きくちさんに関する記事作成の募集があった(2)ツイッターで「100日後に死ぬワニ最後どうなるんだろ!?気になる」などと同一の宣伝投稿をするアカウントが大量にある――が挙げられている。

   しかし、ランサーズの募集主は取材に「こういうニュースになっていて驚いております」と戸惑い、「作者様及び関係者様とは一切関わりはない状況でございます」と答える。自身が運営するトレンドブログ(話題のニュースをまとめたサイト)への掲載が目的だったという。

   また、疑惑となったツイッターアカウントも無関係の可能性が高い。大半のアカウントのプロフィールには、LINEアカウントのリンクが張ってあり、友達登録を促している。実際に登録すると「毎日5万円が口座に貯まります」などと、いわゆる情報商材の購入を勧められた。話題に絡めたツイートを"えさ"に、もうけを得る狙いがあったとみられる。

ベイシカ社長「動画で語ったことが全て」

   ベイシカの中尾恭太社長に、あらためて前述の3つの点を問うと、いずれも「デマです」と否定。そのほか、きくちさんを装ったツイッターアカウントのダイレクトメール(DM)も広まっているといい、「たくさんありすぎて、もはや全てを把握し切れていません」と困惑する。

   こうした不正確な情報に対しては、特に対応は考えておらず、「先日、いきものがかりの水野さんとの動画で語ったことが全てで、それが真実です。信じていただける方には伝わっていると思いますので、攻撃をしてくる方々に対して向き合うのではなく、応援してくれる方々に感謝し、僕たちは前を向いて今を大切に、愛で生きていきます。そして、これからも新しいエンターテイメントを提供していきます」とコメントした。

   なお、ビジネス展開の発表時期については、「100話目の後の余韻が欲しかったという意見に関しては、僕も一読者として、とてもその通りだなと思います。情報出しのタイミングが7日後であれば良かったのか、49日後であれば良かったのか、正解がなんなのかは分からないなというのが率直な感想です」と葛藤もあったと明かす。

   「たくさんの人達に関わっていただき、あのタイミングで計画していた解禁タイミングを変更する決断をすることは今の僕の力では叶いませんでした」「いきなり変な炎上をして、いろんな感情が自分の中でぐちゃぐちゃになりました」と漏らすも、「僕は今できることを全て出し切ってやりきりました。一つの後悔もありません」(中尾氏)

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

   (24日22時追記) 中尾氏の要望により、以下のコメントを追記します。

「きくちゆうきは本当にさいっこうの男です。かんっぺきにやりきりました。ほんと痛快です。あっぱれです。 きくちゆうきにこれ以上心無い言葉が届きませんように。ワニを読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました。ワニがこの先も皆様の心の中で生き続けてくれることを信じています。優しいハッピーな世の中にしていきましょう」
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