2024年 4月 23日 (火)

しんぶん赤旗、新型コロナで「大きな困難」 ウェブ読者に「『紙』あるいは電子版購読を」

   共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が2020年5月17日の紙面で、新型コロナウイルスの感染拡大が原因で継続的な発行に「大きな困難」をもたらしているとして、読者に協力を求める記事を掲載した。

   共産党は、過去の党大会や赤旗紙面でも部数拡大を訴えてきたが、今回の記事で異例なのは、ウェブサイトの無料記事を読んでいる人に対して、有料の紙媒体や電子版の購読を求めている点だ。赤旗は党の関係者が配達する定期購読が原則だ。売店やコンビニでの1部売りの割合が高いスポーツ紙や夕刊紙は、テレワークの拡大でさらに大きな影響を受けているとみられ、こういった「SOS」が広がる可能性もありそうだ。

  • 有料の紙媒体や電子版の購読を呼びかける異例の記事が掲載された(写真は「しんぶん赤旗」フェイスブックページから)
    有料の紙媒体や電子版の購読を呼びかける異例の記事が掲載された(写真は「しんぶん赤旗」フェイスブックページから)
  • 有料の紙媒体や電子版の購読を呼びかける異例の記事が掲載された(写真は「しんぶん赤旗」フェイスブックページから)

購読の継続、知人への紹介に加えて...

   記事は「コロナ危機のもと、『しんぶん赤旗』を守るために力をお貸しください」と題して小木曽陽司・赤旗編集局長と山本豊彦・日曜版編集長の連名で出され、

「私たちが、読者のみなさんに、率直にお伝えしたいのは、コロナ禍は、『しんぶん赤旗』の継続的な発行にとっても、大きな困難をもたらしているということです」
「コロナ禍のもと、読者が少なくなり、新聞の継続的な発行ができなくなるような事態は、どうしても避けなければなりません」

などと訴える内容。「次のことを、心から訴えます」として、読者に3つの事柄を訴えた。最初の2つが購読の継続と知人への紹介で、3つめが

「インターネットのホームページで、『しんぶん赤旗』のテキスト記事をご覧になっている方もおられると思います。紙面を一覧できる「紙」の日刊紙、日曜版、あるいは電子版をぜひご購読いただくようお願いします」

というもの。つまり、無料で読める記事だけではなく、有料の記事も読むように求める内容だ。

「しんぶん赤旗」事業は「党の財政収入の9割をしめるという決定的な役割」

   赤旗は独自の調査報道に定評がある。例えば19年に発覚した「桜を見る会」の問題をいち早く指摘し、野党合同ヒアリングでは赤旗のコピーが参考資料として配られるほどだが、それでも部数減に悩まされてきた。

   19年8月には日刊紙と日曜版の読者数が100万を割り、岩井鐵也・財務・業務委員会責任者が19年8月28日付けで「『しんぶん赤旗』と党の財政を守るために」と題して出した声明では、100万人割れは「重大な事態」で、「この後退が『しんぶん赤旗」』発行の危機をまねいている」と指摘、さらに、共産党は政党助成金を受け取っていないことなどを背景に、

「『しんぶん赤旗』の事業は党の財政収入の9割をしめるという決定的な役割を担っています。『しんぶん赤旗』の危機は、党財政の困難の増大そのものです」

と訴えた。20年1月の党大会で山下芳生・幹部会副委員長(参院議員)が行った中央委員会報告でも、

「党員数や『赤旗』読者数の後退とともに、原則的な支部活動や党生活の崩れ、配達・集金活動や党機関財政の困難など、党の質的強化が求められている課題が少なくありません」

と指摘。この時点での読者数は「日刊紙、日曜版、電子版をあわせて約100万人」だとされている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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