2024年 4月 26日 (金)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「暴徒化する抗議デモ」報道への違和感

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「軍派遣発言」への反発と意外な支持

   一連の抗議デモや暴動で、全米で少なくとも17人の命が奪われ、そのうちのほとんどが銃撃による(6月2日現在)。少なくとも3人は、警官によって殺された。セントルイスでは警部が略奪者によって射殺され、ラスベガスでも警官が銃で撃たれた。

   各自治体の外出禁止令に違反した疑いなどで逮捕された人数は、累計1万人に迫った。各地の治安当局が警察や州兵を大規模に動員したため、略奪や破壊行為などは沈静化しつつある。

   トランプ大統領は、「アンティファ(ANTIFA=左派から極左の反ファシズム運動で、トランプ氏の支持者と対立)」が暴動をあおっていると主張するが、FBI(米連邦捜査局)は「根拠がない」と否定、ロイター通信は「特定の政治的勢力による煽動は一部で、大半は騒ぎに便乗した一般市民によるもの」と報じた。

   一方、ツイッター社は、「アンティファ」になりすました白人至上主義団体が、暴力を扇動していたとし、そのアカウントを閉鎖したという。

   「略奪や放火は抗議デモとは別物なのに、一緒くたにされている」と感じている人は多い。日本のマスコミでも、「抗議デモが暴徒化」、「デモ以外の方法で抗議を」などと報道されている。

   こうした状況のなか、トランプ大統領は6月1日、「市や州が、住民の命や財産を守るために必要な行動を取らないなら、私が軍を派遣し、問題を直ちに解決する」と話した。 これに対して米国内では、「トランプは自国民に戦いを挑むのか」、「トランプ氏は威圧して、国を分断しようとしている」といった批判の声があがった。

   フロリダ州に住む私の知り合いのロバート(60代)は、妻とともにトランプ氏を支持し続けてきた。彼の息子は元米海兵隊員だったこともあり、軍派遣を支持すると思ったが、意外な答えが返ってきた。

「トランプは、暴力から市民を守りたいという思いから、そう語ったのだろう。でも、よほどのことが起きない限り、ああ言うべきではなかったかもしれない。暴動を起こすのはごく一部の人間で、大半の人たちは黒人男性の死に抗議し、デモに参加している。そうした人たちが、自分たちに向けて軍を出し、攻撃を仕掛けると思い込んでしまうのではないか」

   日本でも、「暴動ではなく、抗議デモそのものを鎮圧するために軍を動員する意向を示した」と受け取れる報道が目立った。

   しかし、今回の事件が起きたミネソタ州ミネアポリスに住むアンドルー(70代)は、「自分たちのコミュニティを破壊されるのを手放しで見ているのは、耐えられなかった。その多くは州外からやってきた」と、軍による介入を強く支持した。

   トランプ氏のデモ対応を支持する人は33%(ロイター通信)との報道もあるが、警察とともに軍隊の動員を支持する人は58%を占め、民主党支持者の間でも48%にのぼる(ニューズウィーク)との世論調査結果もある。

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