2024年 4月 19日 (金)

『菅内閣』は横滑り、再登板、元「同僚」... 「思い切った」人事には「身体検査」の吟味時間足らず?

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   菅内閣が2020年9月16日に発足する。全国紙各紙などが既に16日付朝刊で閣僚20人の全容を報じているが、うち8人が安倍内閣からの再任、3人が閣内の別ポストへの「横滑り」、他に4人が安倍政権時代と同じポストに「再登板」することに。菅義偉首相は14日に「思い切って私の政策に合う人を登用する」と話していたが、開けてみれば、新鮮味あふれるとは言いがたい。

   全国紙各紙が16日付朝刊で、テレビ各局も16日昼のニュースまでに、菅氏以外の閣僚20人の名前とポストを報じた。全国紙の政治部デスクによると、菅氏側から15日までにそれぞれに入閣の打診があったという。各社とも15日夜までに内閣の全容をつかむことができたようだ。閣僚名簿は16日午後に正式に発表される。

  • 官房長官に起用されることが決まった加藤勝信氏は、副長官として菅氏の下で働いた経験がある(2015年)
    官房長官に起用されることが決まった加藤勝信氏は、副長官として菅氏の下で働いた経験がある(2015年)
  • 官房長官に起用されることが決まった加藤勝信氏は、副長官として菅氏の下で働いた経験がある(2015年)

「新鮮味に欠ける布陣になったな、というのが第一印象です」

「菅さんならではの大胆な人選を期待していましたが、新鮮味に欠ける布陣になったな、というのが第一印象です」(全国紙政治部デスク)

   実際、菅氏以外の閣僚20人のうち、麻生太郎・副総理兼財務相ら8人が同じポストに引き続き就く「再任」、加藤勝信・厚生労働相が官房長官に就くなど3人が閣内の別ポストに就く「横滑り」。田村憲久・元厚労相などかつて安倍政権で同じポストを経験した3人が再び同じポストに就くほか、新設されるデジタル担当相に就く平井卓也氏も安倍政権でIT担当相を経験しており、これら4人が実質的に「再登板」と言える。

   残る新入閣の5人のうち、防衛相に就く岸信夫氏は安倍晋三氏の実弟。農林水産相に就く野上浩太郎氏も安倍政権で2019月秋までの3年間に官房副長官を担うなど、内閣全体として安倍政権からの継続性を強く印象づける布陣となっている。フジテレビは16日昼のニュースで、野党幹部の談話として「『アベノママ内閣』」だと皮肉った」と報じた。

2020年9月2日、東京都千代田区で
2020年9月2日、東京都千代田区で

   菅氏は自民党総裁に選出された14日の記者会見で、閣僚について「思い切って、私の政策に合う人を登用して仕事をしていかないと、国民に申し訳ない」と大幅な入れ替えをするとも受け取れる発言をしていた。先出の政治部デスクが言う。

「菅さんは官房長官を7年8カ月務め、同じ内閣で閣僚経験者の15人や副長官だった野上氏らの仕事ぶりをよく分かっています。(万博担当相に就く)井上信治氏も安倍内閣の環境副大臣の時、福島第一原発の放射性廃棄物を保存する中間貯蔵施設の設置に関する福島県や自治体との交渉で菅氏から高く評価されました。菅さんは実は慎重な性格ですから、『同僚』『上司』として仕事ぶりを吟味して、閣僚に適した実績がある人しか選ぶつもりはなかったのでしょう」

就任後のスキャンダル発覚、避けたかった?

「派閥が推薦した『入閣待機組』の平沢勝栄氏(復興相に就任予定)と坂本哲志氏(1億総活躍相に就任予定)がやや未知数ですが、いずれも重要ポストではなく、失言やスキャンダルさえなければ1年くらいは任せようというつもりなのでは」(全国紙政治部デスク)
首相官邸(東京都千代田区)
首相官邸(東京都千代田区)

   別の見方もある。

   大臣ともなれば、全国紙社会部や週刊誌が総力で取材し、「政治とカネ」などのスキャンダルを暴こうとするため、組閣や内閣改造の際に候補者は事前に「身体検査」と呼ばれるチェックを受けるとされる。警察庁や内閣情報調査室などの情報機関が幅広く持つ情報網や蓄積した資料などから情報を集め、「政権中枢」に上げるという。

   ある情報機関で政治家の身辺や選挙区などの情報収集も担当している職員は話す。

「安倍さんの辞任表明が突然だったため、十分な時間がなかったのが実情です。今回の閣僚就任予定者以外にも調査を指示された議員はいましたが、上げた情報が十分と判断されなかったようですね。菅さんが『この人は身辺がきれいだ』と判断できないなら、選ばれないということではないでしょうか」
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