2024年 4月 26日 (金)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
9.11 あの時の「沈黙」と重なるニューヨークの今

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NYも星条旗で彩られる日

   同時多発テロが起きた時、米国で急激に愛国心が高まった。19年経った今も、この日の跡地は星条旗で彩られ、愛国の精神を強く感じる。343人の消防士、72人の警官が殉職。式典には毎年、多くの警官や消防士が参列し、跡地前の消防署でも厳かな儀式が行われ、米国愛国歌「アメリカ・ザ・ビューティフル」などのバグパイプ演奏が繰り広げられる。

   跡地に作られた慰霊碑は、四方から水が流れ込む巨大なプールのようになっていて、外壁に犠牲者の名前が刻まれている。そこには花や犠牲者の写真、星条旗などとともに、中央に細く青い横線の入った白黒の米国旗(Thin Blue Line Flag)が添えられる。これは、警察などの法執行機関の職員への支持を表す旗で、殉職した警官への追悼の意がある。

   ジョージ・フロイド氏の事件をきっかけに、警官による黒人男性への暴力を訴え、「ブラック・ライブズ・マター」運動が大きなうねりを見せた今年。民主党支持者が極端に多いニューヨークなどではとくに、堂々と掲げることが躊躇されるこの旗も、この日この場所では悠々と翻る。この旗をあしらったマスクやTシャツ姿の人たちも見かけた。

   犠牲者の名前の刻まれた追悼碑の前に、遺影と星条旗などをあしらった大きなサインを立てかけ、その前にすわり込み、じっと遺影を見つめている男性がいた。事件の翌年を除き毎年、この日にはコネティカット州から車で2時間かけて、妻と訪れているという。

   テロで亡くなった遺影の男性(同時26)は大学が休みになると、コネティカット州にやってきて一緒に仕事をしたという。

   夫婦はこの朝、別の追悼式典に参加した。殉職した消防士をたたえる非営利団体「トンネル・トゥー・タワーズ」が、式典で録音を使うことに強く反発し、テロ跡地から数ブロック離れた公園で開いた式典で、約140人の遺族らが参列。犠牲者の名前をその場で読み上げた。

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