2024年 4月 26日 (金)

新宿から「TSUTAYA」が消える 文化人も愛した老舗、レンタル作品は渋谷へ...

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   日本一の繁華街から「TSUTAYA」が消える――。

   東京・新宿にあるレンタルDVDショップ「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」が、2020年11月15日で閉店する。前身の「新宿TSUTAYA」から数えて25年、映像作品の豊富なラインアップで文化人などからも愛されてきた店舗だった。

  • 閉店する「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」(2020年10月撮影)
    閉店する「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」(2020年10月撮影)
  • 閉店する「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」(2020年10月撮影)

文化人も昔を懐かしむ

   「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」の閉店は20年10月5日、同店の公式ツイッターなどで明かされた。同店のルーツは1995年にJR新宿駅東口に出店した「新宿TSUTAYA」。当時の日本経済新聞の報道によると、レンタルビデオ、レンタルCDコーナーなどを合計7フロアにわたって展開した大型店舗だった。

   「新宿TSUTAYA」の最大の特徴は、映像作品の豊富な品揃え。朝日新聞は2001年6月21日の夕刊で、当時の店舗について以下のように報じている。

「『ないものはない』。それがモットーというレンタルビデオの品ぞろえを誇るのが、東京・新宿東口にある『新宿TSUTAYA』だ。洋画4万本、邦画2万本、アニメ2万本、アダルト1万本の計9万本だ。レンタル利用客はCDを含め1日3000人。95年のオープン以来、全国約1000店にまで成長したTSUTAYAチェーンのフラッグシップに恥じない品ぞろえを追求してきた」
「現在では廃盤・品切れになった珍しいビデオが、ここに集められているからだ。(途中略)マニアはもちろん、資料を探しにくるテレビや映画業界の関係者も多いという」

   実際に店を利用していたという「文化人」も、ツイッターで当時の思い出を振り返っている。

「中村屋の隣にあった頃はよく行った。90年代後半だったか。なんでもある印象だったけど、むしろどこにでもあるものは置いてなかったのかもしれない」(劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチさん、10月5日)
「20代の頃、VHSしかない映画はいつもここに借りにいってた。カメ止めのチラシも置いてもらったなぁ」(映画『カメラを止めるな!』監督の上田慎一郎さん、10月6日)

CDレンタルは17年に終了

   2010年代は入居していたビルの建て替えもあり、売り場の縮小などが起こった。17年2月にはCD・映像レンタル一体で営業していた「新宿TSUTAYA」から、映像レンタル部門が独立。場所を新宿駅東口から歌舞伎町へと移し「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」としてスタートを切った。一方、駅東口に残った「新宿TSUTAYA」ではその後もCDレンタルを取り扱っていたが、17年6月にサービスを終了している。

   そして、「歌舞伎町DVDレンタル館」も移転から4年足らずで閉店が決まってしまった。閉店理由についてTSUTAYAの広報担当者は、J-CASTニュースの10月7日の取材に対し、「我々の提供するサービスや場の在り方も時代とともに変化していきているので、より顧客価値の高い店舗になるようにドミナント(地域内の集中出店体制)再編やスクラップ&ビルドを行っており、その一貫として閉店に至りました」と説明した。

   「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」の閉店で、新宿駅前エリアからはTSUTAYAの店舗が消滅する。かつて「新宿TSUTAYA」があった新宿駅東口のビルでは、TSUTAYAと同じCCCグループの「カメラのキタムラ」運営の施設「新宿 北村写真機店」が営業している。だが、そこに「レンタル作品の一大拠点」だった頃の面影はない。

   多くの文化人を惹きつけてきた新宿TSUTAYAの終焉。将来的な「再出店」の可能性について、TSUTAYAの担当者は「現時点では、映像レンタルサービスを提供するTSUTAYAの店舗の再出店の予定はない」とした。

力を入れる「SHIBUYA TSUTAYA」

   新宿からは「撤退」となる一方で、TSUTAYAが今年に入ってから力を注いでいるのが、東京・渋谷にある旗艦店「SHIBUYA TSUTAYA」の改装だ。

   6月12日には3階、4階の音楽フロアを改装し、約35万枚の在庫を武器に「日本最大級の音楽館」としてリニューアル。Spotify、Apple Musicなどのサブスクリプション(定額制)サービスに配信されず、レンタル需要のある作品にスポットライトを当てた「サブスク未解禁」コーナーを設けた。

   9月17日には4階、5階の映像フロアをリニューアル。洋画・邦画・海外ドラマ作品を扱う5階フロアには、VHS作品約6000 タイトルをラインアップしたコーナー「渋谷フィルムコレクション」を設けた。DVD化されていないレアな映像作品を多く取り揃え、VHSを再生するためのビデオデッキの貸し出しまで行っている。

   「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」の閉店後は、その豊富な映像作品をSHIBUYA TSUTAYAへと移動する。すでに、VHSなど貸し出し中のものもある。TSUTAYAの担当者は「今後も『SHIBUYA TSUTAYA』のみならず、TSUTAYAの全店において『本』『映画』『音楽』などを通じてお客様の生活を豊かにする『ライフスタイル提案の場』として提案の質が向上していくように努めてまいります」とした。

   なお、「新宿TSUTAYA歌舞伎町DVDレンタル館」の他にも、都内では「TSUTAYA中目黒店」「TSUTAYA北千住店」が閉店を発表。(ともに11月15日)。愛知県名古屋市では中心部の栄地区にある「TSUTAYA名古屋栄店」の閉店(10月31日)が決まっている。

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