2020年 11月 27日 (金)

日銀が「しぶしぶ」デジタル円に着手した背景 課題・リスクあるも自民党は前向きで

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   手元のスマートフォンで「××ペイ」のアプリを起動して、画面に並ぶボタンの一つをタップすると「デジタル円」の操作モードに。両親からの仕送りの入金を確認すると、その一部を昨晩の飲み代を立て替えてくれた友人に送金した――。

   日本銀行が2020年10月9日に発表した中央銀行デジタル通貨に関する「取り組み方針」から透けて見えるのは、こうした近未来の日常だ。日銀は「現時点で発行計画はない」と及び腰だが、待ったなしの状況に追い込まれている。

  • デジタル円の行方は…(イメージ)
    デジタル円の行方は…(イメージ)
  • デジタル円の行方は…(イメージ)

消極的な姿勢もにじむが...

   日銀が想定しているデジタル通貨は、既に存在するチャージ式の電子マネーのようなものだ。スマホアプリやICカードで扱うことができ、コンビニなどの小売店で商品を購入する代金として使える。電子マネーは1回やり取りすると決済されて円に戻るが、中銀デジタル通貨はそのまま流通していく点が最大の特徴。仮想通貨にも利用されている暗号技術「ブロックチェーン」を活用することになりそうだ。日銀はデジタル通貨を実際に発行しても、現金の供給は「需要がある限り」責任を持って続けていくと明確化している。

   ただ、課題は山積している。超低金利が続いている状況で日銀が発行するデジタル通貨を利用できるようになれば、なにしろ日銀は民間銀行のように経営破綻するという可能性はゼロで、しかも銀行より送金手数料が安くなるだろうから、資金を銀行に預ける意味がなくなる。そうなれば資金が銀行預金からデジタル通貨へ移って外見からは分からない「取り付け」が起き、金融システムに混乱を招きかねない――という指摘だ。

   また、地震や台風で甚大な被害が生じて停電が長引けば、現在のスマホ決済サービスと同様に使えなくなるという弱点もある。

   日銀は2021年度の早い時期にシステム的な実験環境を構築して、デジタル通貨の基本機能(発行、流通など)を検証する「フェーズ1」を始める計画だ。その後は「フェーズ2」を経て、民間事業者や消費者が実地で参加する「パイロット実験」も想定する。ただし、取り組み方針では、パイロット実験の実施の条件を「さらに必要と判断されれば......視野に入れて検討していく」と表現しており、極めて消極的な姿勢がにじむ。

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