2024年 4月 20日 (土)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「さようなら、大統領」最後の演説への支持者の思い

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議事堂前でわき起こった大統領への拍手

   この男女が去り、4時を過ぎると、議事堂の西側が夕日で輝き始めた。しばらくすると、トランプ大統領の声が聞こえてきた。議事堂を前に立っていた男性の携帯電話から流れていた。男性が一心に耳を傾けていたので、近づいて一緒に画面を見せてもらった。彼の名はイオアン。ルーマニア系アメリカ人だった。

   彼が聞いていたのは、公開されたばかりのトランプ大統領の動画「国民への別れのメッセージ」だった。

   自転車でやってきた30代くらいの男性にも、それが聞こえたのだろう。彼は私たちに近づき、しばらくメッセージに耳を傾けた。そして自転車を降り、議事堂に向かって手をかざし、「民主主義を守ってくれて、ありがとう!」と叫んだ。

   すると、周りから拍手がわき起こった。その場にこんなにトランプ支持者がいたのか、と驚いた。

   ワシントンでは、今回の大統領選でトランプ氏に投票した人はわずか5%だが、1月6日の集会と議事堂への行進の後、そのままこの街に残った人や、就任式前に来たという人たちがいた。

   あとで報道を見てみると、「ABC」をはじめ主要メディアはトランプ大統領のこのメッセージの一部を放送し、次のように酷評した。

「メッセージの中で、トランプ氏は「ジョー・バイデン」の名前を一度も口にしなかった」
「議事堂乱入を煽った張本人が、『喜びに満ちた心で去っていく』とは何事か」
「『新たな戦争を起こさなかった』と言うけれど、州兵を2万人も投入した厳戒態勢下の今のワシントンは、まさに戦場ではないか」
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