2024年 4月 26日 (金)

人気の希少「双頭シマヘビ」急死 4年半育てた爬虫類ショップ店主に聞く成長記録

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   爬虫類ショップ「マスターオブドラゴン」(横浜市)で飼育されていた、1つの身体で2つの頭を持つ「双頭シマヘビ」が、2021年2月4日に亡くなった。約4年半にわたり成長を見守り続けた同店が公式ツイッターなどで発表した。

   たくさんの人々に愛されてきた双頭シマヘビについて、「マスターオブドラゴン」の店主・日野原創さんが6日、J-CASTニュースの取材に応じた。

  • 保護した時の双頭シマヘビ
    保護した時の双頭シマヘビ
  • 生後半年
    生後半年
  • 生後一年半
    生後一年半
  • 脱皮前の様子
    脱皮前の様子
  • 双頭シマヘビの脱殻。自力で脱皮することもできたという。
    双頭シマヘビの脱殻。自力で脱皮することもできたという。
  • 保護した時の双頭シマヘビ
  • 生後半年
  • 生後一年半
  • 脱皮前の様子
  • 双頭シマヘビの脱殻。自力で脱皮することもできたという。

「運命的な何かをこの子達に感じました」

   突然の別れだった。日野原さんは4日、ツイッターでその死をこう伝えた。

「本日2月4日、原因不明ですが双頭シマヘビが急死しました。昨日もいつもと変わらずの2人でしたが突然です。飼育年数、約4年半、毎日明日も元気でいてくれるかな?と思いながら飼育していましたが、その時はあまりに急でした。もっと長生きさせてあげたかったですが、、成長を見守ってくれた皆様ありがとう」

   双頭シマヘビは長らくネットニュースやSNSなどでも注目を集め、多くの人に愛されてきた。それだけに、SNS上では驚きとともに数多くの哀悼の声が寄せられている。

   関西地方で2016年、生まれたての状態で発見された双頭シマヘビ。日野原さんによれば、自然界でこうしたヘビが見つかるのは希少だ。日野原さんは、発見者からSNSを通じて譲り受けたという。

「元々マスターオブドラゴンの店主がアマチュアバンドをやっていた時のバンド名がTWO HEADだった事もあり運命的な何かをこの子達に感じました」

   希少な双頭シマヘビの飼育は、試行錯誤を重ねた。日野原さんはまず、片方の頭からエサを与えて様子を見た。

「双頭の個体の中には内臓が繋がっていないものもいます。見つかったときは赤ちゃんの柄だったので、まだ1回も餌を食べていない可能性もありました」

   無事に糞をするのを確認出来たら、もう片方の頭からも同じように餌を与えて様子を見た。順番に餌を与えるのは、どちらの頭から食べても内臓がしっかり機能するか確認するため。その結果、どちらの頭からも無事に餌を消化できることが分かった。

   日野原さんは双頭のシマヘビが少し成長してから、病院に連れていった。まだ小さかったので負荷のかかるMR検査などはできなかったが、レントゲン写真だと内臓は1匹分しかないように見えた。

さらに成長すると新たな発見が

   双頭シマヘビが成長すると、また新たな発見があった。ヘビの腹には、まさに「ジャバラ」のような平たい横長の鱗がある。このような腹の真ん中に、普通のシマヘビには見られない「筋」のようなものが見つかった。そしてこの筋を境に左右の鱗にズレが確認できた。このことから日野原さんは、本来は双子だったものがくっついて生まれてしまった「ツーボディ」のシマヘビだったのではないかと推測している。

「本来は卵の中で双子だったものが、くっついて生まれてきたんでしょうね。くっつきかた次第では、カメとかだとたまに足も増えていることがあります。ただ、ヘビはもともと手足がないから分かりづらかったのですが、その筋を見た時に2匹がくっついたものなのだと分かりました。さらに普通のシマヘビより体が太かったので、やはり2匹分なんですね」

   臓器は共有しているようにみられるものの、2匹のシマヘビたち。日野原さんは2つの頭からエサを与えた。見に来た客からは、「胃が一つなら食べるのはどちらかで良いのか」という質問もしばしば寄せられた。しかし日野原さんは、片方だけに餌を与えていれば、脳と内臓の感覚がちぐはぐになってしまうのではないかと懸念した。

「人間でいえば1人だけにあげるってわけにもいかないじゃないですか(笑)
また脳は2つなので両方に与えないと、食べてないのにお腹いっぱいな状態が続く事になる。そして1匹がストレス感じて衰弱したら、もう1匹も弱っちゃうんで」

たくさんの出会いをもたらした双頭シマヘビ

   双頭シマヘビは脳が2つあるため、動きにぎこちなさが表れることもあったが「割と上手く」動くことができていたという。月に一度は脱皮を行い、約110センチメートルまで成長した。

   手塩にかけて育ててきた双頭シマヘビの、突然の死。日野原さんは取材の最後、応援し続けてきた人々に向けて、こう述べた。

「双頭シマヘビに会いに来てくれた皆様、SNSで成長を見守ってくださった皆様、本当ありがとうございました。爬虫類が苦手な方からも『爬虫類に興味を持った』『または好きになった』など色々な人からありがたいお言葉をいただきました。またこの子達がきっかけで色々な方に出会えた事もありました。
まだまだニッチな爬虫類の世界ですが、爬虫類を取扱う人間としてはこの子達に今は感謝しかありません。
ありがとうございました」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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