2024年 4月 26日 (金)

「細々とでも、現地の言葉を伝え続ける」 震災10年で終わるつもりだった被災地発ラジオが、存続を決めた理由【#これから私は】

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「さいがいFM」閉局時には桑田佳祐がサプライズ訪問

   そんなさいがいFMも、震災から5年を迎えた16年3月29日に役目を終える。全国からの寄付金を元にした運営体制を維持する難しさや、人材確保の難しさが背景にあった。放送終了間際の16年3月26日には、サザンオールスターズの桑田佳祐さんがサプライズで女川を訪問し、楽曲を披露した。その様子は「さいがいFM」でもサイマル配信され、話題を呼んだ。

   放送局は幕を閉じたが、嬉しい話題もあった。かつて「さいがいFM」で女子高生アナウンサーとして活動していた阿部真奈さんは、17年4月に福島県のテレビ局に記者として就職。「さいがいFM」を通じて育まれたジャーナリズムが、東北のメディア業界に還元された。

   女川発の地域メディアも、次のフェーズに移行した。「さいがいFM」で培われたノウハウを元に、女川町からの委託・協賛を受け、町の魅力や復興の現状を「外」へ伝えていく、という活動への転換だ。屋号も「OnagawaFM」に改めた。

   16年4月からは、「さいがいFM」で放送されていた人気番組を引き継ぐ形で、 「onagawa now!」がTBCラジオでスタート。番組は全国のコミュニティFM各局でも放送され、女川の「今」を日本中に伝え続けている。

「Onagawa Now!」で町民にインタビューをする佐藤敏郎さん(左、大嶋智博さん提供)
「Onagawa Now!」で町民にインタビューをする佐藤敏郎さん(左、大嶋智博さん提供)

   16年4月に発生した熊本地震の被災地には、閉局で不要になった機材を現地の臨時災害FMへ譲渡。熊本で「onagawa now!」の番組収録も行った。18年9月に発生した北海道胆振東部地震では、被害の大きかったむかわ町、厚真町にスタッフを派遣し、災害放送局開設のノウハウを伝えた。

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