プロ野球・横浜ベイスターズに在籍し、共に1998年の日本一メンバーとなった谷繁元信氏と石井琢朗氏が2021年12月5日、YouTubeの「日本プロ野球名球界チャンネル」に公開された動画に出演し、21年の日本シリーズの勝敗を分けたポイントを語っている。奥川を一貫して中7日起用全6試合が2点差以内での決着という接戦ぶりで、4勝2敗でヤクルトがオリックスを下した日本シリーズ。ターニングポイントを聞かれた谷繁氏は「2戦目に高橋奎二を完投させたことですね」と指摘する。第1戦で9回裏にヤクルトのクローザーのスコット・マクガフが3-1から3点を失い逆転サヨナラ負けを喫していた。「使いづらいってのもあったでしょうし、いろんな思いがあったなかでの続投で、それに応えた高橋奎二、あれがポイントじゃないかと思います」と話し、第2戦でプロ初完封を遂げた高橋を評価した。ヤクルトの3勝2敗で迎えた第6戦では、ヤクルトベンチは高梨裕稔を先発させた。この采配に谷繁氏は「奥川(恭伸)を中7日以上空けて投げさせる。これを1年間貫き通しましたからすごいなと思います。あそこまで後半よくなってきたピッチャーを、チームも優勝を争って苦しい時期に入ってるのに、奥川の間隔だけは絶対詰めなかったですね」と話し、高津臣吾監督の起用策を評価した。奥川は第1戦に先発しオリックス打線を7回1失点に抑えていたが、「6戦目奥川、7戦目高橋かなって普通考えるんですけど、1日多くとらせて奥川と高橋を準備させましたからね。その辺も戦略的に言うとヤクルトの方がちょっと上手だったのかな」と谷繁氏は分析した。オリックス敗北の伏線は?オリックス敗北の伏線として谷繁氏は第5戦4回表のオリックスの攻撃を挙げた。福田周平が出塁し無死一塁の場面、宗佑磨の打席でエンドランを仕掛けたが、宗が初球を空振りし福田が二塁で刺された。このプレイで「2アウトから吉田(正尚)と杉本(裕太郎)で1点入ったんですけど、あの失敗からちょっと中嶋(聡監督)さんの動きが悪くなったというか、カンが悪くなったという風に感じた」と谷繁氏は話す。第6戦でも12回表に2死走者なしから、富山凌雅から吉田凌に投手を替え、結果捕逸も絡んで川端慎吾に決勝打を打たれたオリックスを「富山の状態がよかったからそのままでもよかったんじゃないか」とコメントした。石井氏は高津監督がチームを鼓舞したワード「絶対大丈夫」について、「来シーズンこれを上回る言葉って何があるかなとずっと考えたんですけど何もなかったですね」と話し、谷繁氏は「僕は性格的に絶対ってないと思ってるんで、『絶対大丈夫』って言われてもそんなわけないだろって」「不安要素を消していく作業が必要な時に高津さんは『絶対大丈夫』って言葉でやられたと思うんで、それは人それぞれでいいと思います」と印象を話した。捕手出身の谷繁氏から「絶対大丈夫」の印象を聞いた石井氏も、「『絶対大丈夫』はピッチャーだから言える言葉かなと思いました。キャッチャーで絶対大丈夫なんてないもんね」とコメント、谷繁氏も「『ここ絶対大丈夫』ってストレート投げて打たれたら『お前バカか!』ってなる(笑)」と答えていた。また日本シリーズMVPに選ばれたヤクルト捕手の中村悠平についても谷繁氏は「動きに余裕が出てきて、すべてが上手く見えるようになってきた。そんなに評価が高くなかったことに対して悔しい思いもあったでしょうし、何とか我々を見返したいって。これで評価せざるを得ないですからね」と今季の活躍を認めていた。
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