「せっかくの外食なので盛大に散らかし遠慮なく泣かせてください」−−。北海道帯広市のラーメン店「中華そばマル藤商店」が、子連れ客へ向けて掲示した張り紙が、ネット上で称賛を集めている。なぜこうしたメッセージを客に伝えるのか?J-CASTニュースは2022年1月25日、店主に聞いた。「楽しく、美味しく過ごしてほしい」店は3児の父でもある藤川純さんが店主を務める。子供はそれぞれ9歳、7歳、2歳。話題となっている張り紙は、「お子様連れのお客様」と題したもので、「お父さん、お母さんが順番に食べられるように、ラーメンをお出しするタイミングをずらしてお持ちいたします。どうぞ遠慮なく申し付けください」「ベビーフードの温め、ミルクのお湯などもお気軽に」と伝えている。下方には大きく「せっかくの外食なので盛大に散らかし遠慮なく泣かせてください」と書かれている。この張り紙を店のインスタグラムで12日に紹介したところ、大きな反響を呼んだ。藤川さんは投稿で「しつけのためならしょうがないところもあるとは思いますが」と前置き、「せっかく大好きなパパママとご飯を食べに行く時くらいは、怒られたり、注意されることなく、楽しく、美味しく過ごしてほしいです」と切望する。そして親に対して、「お店や他の人に気を使うことなく、気持ちに余裕をもって子供に接してほしいですとは言われても気を使うのはわかってますが子供がうるさくするのは楽しいの裏返し 散らかすのは甘えたいだけ」として、「うちにいる間だけは思いっきり甘やかしてください」と訴える。投稿は9万件以上の「いいね」を集め、コメント欄に「感動しました」「とっても心が温かくなり涙が出ました」といった声が寄せられるなど反響を呼んでいる。「うちの店くらいは配慮してあげたい」張り紙は、20年3月の開店当初から掲示している。藤川さんは経緯について、「僕自身と同じような体験をさせたくない」という思いがあったと話す。外食には自炊に対する息抜きのような意味もあると藤川さんは考えている。しかし、小さな子供を連れていると、泣き声に不快感を示されるなど、どうしても周囲の目が気になるのだという。「ちょっと騒いだり泣いたりしたらすぐ子供を怒ってしまう...うちもそうだった」「だから結局外食とか行っても楽しい雰囲気じゃなくなってしまうというか。周りのことばっかり考えて楽しくなかったり」そういった状況では親自身の食事もままならなかったと振り返る。藤川さんは外食をネガティブに印象付けるような、「ピリピリした空気」を子供に味わせたくないとする。実際に経験したからこそ、子連れでの外食は「本当に大変だっていうことは分かっているつもり」だという。過去に勤めた飲食店のなかには、子連れ客を注意する店もあったという。事情は分かるとしながら「気持ちの良いものではないなと個人的に思ってはいた」と話し、「一概には言えないですけど、うちの店くらいは配慮してあげたい」「預かった2、30分の間くらいはなんとか良い空間にしたい」と意気込む。ほかにも張り紙を掲示することで子連れ以外の客にとっても、「住み分けにはなるのかなというのはあります」と所感を述べる。そのうえで藤川さんは改めて子連れ客に「本当に遠慮しなくてもいいですよって事は伝えたい」とする。「とにかく何でも言ってくださいっていう事なんですよね。(張り紙では)それを具体的に言っただけで、別に表記してないことでも僕らが出来ることがあるのであれば、やってあげたい」
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