幼稚園に通う息子のため、お弁当のおにぎりを包むラップフィルムに「電車の絵」を描き続ける母親の投稿が、ネット上で「すごい熱量」「最高に可愛い」などと話題となっている。息子に幼稚園のお弁当を楽しんでもらいたいという、母のやさしさから始まった取り組みだ。4万件以上のいいねを集めた投稿への反響について、本人に受け止めを聞いた。「ママの愛情が素敵過ぎる」話題となっているのは、ツイッターユーザー・海岸真紀子(@makikoumigishi)さんによる2022年2月21日の投稿だ。海岸さんはフリーのイラストレーターとして活動している。投稿では、幼稚園の年少組に通う息子のために制作してきた数々のお弁当の写真を披露した。おにぎりには、電車の絵がラップに描かれている。手描きの味わいを残しつつ特徴を捉えてペンで表現し、イラストの下に路線のロゴや電車の名前などが並ぶ。米の白さが絵を鮮やかに浮かび上がらせ、弁当箱を開けた時に目に飛び込んできそうだ。海岸さんは投稿文で、「楽しく最後まで食べられるようにおにぎりを包んだラップに電車の絵を描いてたんだけど、やめどきを完全に逃して日課になってる」と伝える。投稿は6000件以上のリツイートや、4万8000件超の「いいね」を集めるなど注目され、「クオリティやばない...?」「最高に可愛い」「ううう...すごい熱量」「ママの愛情が素敵過ぎる」などと称賛の声があがっている。大きな反響を受けて海岸さんは28日、J-CASTニュースの取材に、制作のきっかけについて、入園当初の息子が慣れない環境でお弁当を完食することが難しかったためだとする。「このままお弁当の時間がつらいことを理由に幼稚園に行くこと自体が嫌になってしまったらどうしよう...」という焦りから試行錯誤をはじめた。「飽きずにお弁当の時間を楽しめる」まずは「(環境に)慣れてない上に嫌いなものを食べなくてはいけないとなると精神的なハードルが高すぎるので、食べられない野菜を入れることは諦めました」と、食べてもらうことに重点を置いた。するとお弁当の色味が白と茶色に偏り、「これでは食欲が湧かない」と悩むことに。園児向けの可愛いお弁当を特集した本を参考にするも、作業量の多さに心が折れそうになった。しかし読み進めるうちに、おにぎりのラップにイラストを描くという方法を発見する。海岸さんは、「これならペンさえあればそれほど手間と時間をかけずに息子の大好きな電車を描けるし、日替わりで色々な電車を描けば飽きずにお弁当の時間を楽しめる」と光明を見出し、5月上旬ごろから絵を描き始める。「電車のおにぎり」を入れるようになった頃からは「ほぼ毎日お弁当を完食できるようになりました」。量を調整するといった工夫を前提に、イラストは「食事に対しての意欲を出すきっかけ」になったとする。息子の反応については「特に感想などを言ってくれるというわけではない」が、「時々、食べた後のラップをお弁当箱の蓋の裏にきれいに伸ばして貼り付けて帰ってきたり、寝る前の時間に次の日の絵のリクエストをくれたりする」という。ほかにも、取り組みのやりがいとして息子の様子を次のように述べた。「幼稚園から帰った後、その日おにぎりに描いた電車をクレヨンでひたすら描いていることがあって、それがとても細かいパーツまでよく描けていて、すごい情熱を感じます。お互いの絵に影響を与え合っているような気がします」今後も継続「幼稚園卒園までは...」イラストは弁当に詰めるおかずを冷ます間に5~10分ほどかけて描いている。これまでにおよそ70個以上を制作し、このアイデアを思いついてからは毎日続けているそうだ。海岸さんは、「(息子が)幼稚園が大好きになり、お弁当も一人で楽々完食できるようになった今ではもはや私が描きたくて描いているだけかもしれません」とも話していた。そのうえで、「お弁当に絵が入ってること自体は迷惑でなさそうなら、幼稚園卒園まではそのとき彼が興味をもっている何かしらのモチーフを描いていこうかなと思います」と意気込んだ。
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