2024年 4月 19日 (金)

第三次サウナブームで「個室型」に熱視線 人気過熱で混雑→「密集避けられる」と支持拡大

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   第三次サウナブームといわれる中、「個室型サウナ」が存在感を増している。

   新型コロナウイルスの流行で、他の利用客との接触を避けてサウナを使いたいというニーズが拡大。「女性専用」を打ち出しサービスの差別化を図る企業や、チェーン展開を進める企業も現れている。

  • 「個室型サウナ」に注目集まる(個室型サウナ「HOTTERS24」ニュースリリースより)
    「個室型サウナ」に注目集まる(個室型サウナ「HOTTERS24」ニュースリリースより)
  • サウナ専門家のサウナーヨモギダさん(本人提供)
    サウナ専門家のサウナーヨモギダさん(本人提供)
  • 「個室型サウナ」に注目集まる(個室型サウナ「HOTTERS24」ニュースリリースより)
  • サウナ専門家のサウナーヨモギダさん(本人提供)

コスメ企業が手がける女性専用サウナ

   2022年3月10日、東京・表参道に女性専用の会員制個室型サウナ「サウナテラピー」が開業した。運営するのは、女性向けコスメを手がけるオリエンタルバスビューティー(東京都渋谷区)。サウナストーンに水をかけて室温を上げる「ロウリュ」用のオリジナルアロマを開発し、石鹸やタオルなどアメニティ類にもこだわった。

   同社の広報担当者は10日、J-CASTニュースの取材に「日本国内でサウナ熱が高まる中、男性向けサウナはあっても女性のための個室サウナはほとんどなかった」と出店理由を説明。店舗はメディアでも取り上げられ「予想を上回る反響を皆さまからいただいている」状況だとした。

   個室型サウナブームの火付け役となったのは、20年12月に東京・神楽坂に開業した「ソロサウナtune」だ。「日本で初めての完全個室のフィンランド式サウナ」を掲げ、フィンランド式サウナの特徴でもあるロウリュを自分の好きなタイミングで出来ることを売りにした。1人用の「シングルルーム」だけではなく、最大3人まで使える「グループルーム」があり、仲間同士での利用も出来る。

   同店の広報担当者は3月9日、取材に「ストレスフリーに自分らしく過ごすことができるサウナを作りたかった」と出店意図を説明。事前予約制となっており、開業以降、満室状態が続いているという。

   21年10月にはアールカンパニー(川崎市)がJR川崎駅近くに全25部屋の会員制サウナ「ひとりサウナロウリューランド」を開業。東京、兵庫、岡山に店舗がある日笠(神戸市)の「HOTTERS24」など、チェーン展開を進める企業も現れた。

   首都圏では今年に入ってからも、大井町や恵比寿といったエリアに個室サウナの施設が誕生。春以降には上野、浅草、自由が丘、川口、たまプラーザなどに出店予定だ。大阪や名古屋、広島、山形など、地方都市にも個室型サウナが進出している。

コロナ影響?サウナ愛好家「1000万人減」のデータ

   個室型サウナが流行している背景には、新型コロナウイルスの影響がある。

   日本サウナ総研が21年12月に日本全国1万人の成人男女を対象に調査を実施し、22年3月4日に発表した実態調査によると、サウナ愛好家の推定人口は20年に2583万人だったのが、21年には1573万人と、1000万人以上減少している。

   コロナによってサウナに行く回数が減ったかどうかを聞いた質問では、年に1回以上サウナに入る「ライトサウナー」と月に1回以上入る「ミドルサウナー」で、いずれも「行く回数が減った」の割合が「行く回数は変わらない」を上回った。

   総研は「ライトサウナーだった層がサウナに行かなくなってしまった、なども考えられ、愛好家人口減少に大きく影響していると思われる」と分析する。ただ、月に4回以上利用する「ヘビーサウナー」では、ライト層・ミドル層よりコロナの影響が少ないという結果も出ている。

   ホテルや温浴施設にある一般的なサウナでは、マスクを着けずに不特定多数の客と対面し、汗を流すことになる。サウナ専門家のサウナーヨモギダさんは3月8日、取材に「(コロナ禍では)人がいるところに行きたくない、という人も多い」と話し、人との接触を避けてサウナを使いたいというニーズが個室型の人気を後押している、との見方を示した。

混雑、マナー悪化...サウナブームの「弊害」も

   日本にはこれまで3回サウナブームが訪れたと言われる。1964年東京五輪の選手村にサウナが設置されたことをきっかけに、全国に広まった第一次ブーム、90年代の健康ランド・スーパー銭湯などの温浴施設ブームと合わせて広まった第二次ブーム。そして、2010年代中頃から現在にかけての第三次ブームだ。

   注目用語をまとめた「日経キーワード2022-2023」(日経HR編集部)によると、インフルエンサーによるSNS投稿の盛り上がりや、サウナを描いた漫画「サ道」(タナカカツキさん作)のテレビドラマ化(19年、21年)、サウナのあとに水風呂や外気浴でリラックスすることを指す「ととのう」というワードの流行などが、第三次ブームの特徴だ。また、海や川など自然環境を生かしたサウナや、持ち運び可能なサウナ、路線バスを改造した移動型のサウナも登場するなど、楽しみ方は多様化している。

   ただ、ヨモギダさんは「入場規制が敷かれるほどサウナが混雑し、利用者が増えたことでマナーの悪い人も目立つようになりました」とブームによる弊害も生まれたと指摘。そうしたシチュエーションを避けたり、一般的なサウナにはないメリットを求めたりする人々の間で、個室型の需要が高まっていると分析する。

「サウナに興味はあるけれど、人前で裸になることに抵抗がある方、人目を避けたい有名人、障害を持つ方やセクシャルマイノリティの方も、個室であれば使いやすいのではないでしょうか。SNSに写真をアップしたり、自分の好きな音楽をかけたりと、従来のサウナにはない新しい使い方ができるのも強みと言えるでしょう」

   一方で、個室型の料金相場は1回あたり4000円程度で、「日常使い」するには厳しい価格だとヨモギダさんは指摘。店舗同士の競争が激化し、過熱気味なサウナブームが収束すれば「淘汰される店舗が出てくる可能性もあるのではないでしょうか」との見方を示した。

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