東京都渋谷区の商業施設「代官山T-SITE」に設置された1本のポールが、インターネット上で大きな注目を集めた。地面に刺さった、ボタンを押すと水が流れる銀色のポール。上部には犬を描いた青いシールが貼られており、「このポールにおしっこをさせてください」と記されている。J-CASTニュースは設置したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、東京都渋谷区)に取材した。(メイン画像)「代官山T-SITE」「SF小説家の自分でも思いつかなかったガジェット」このポールは、SF小説「サーキット・スイッチャー」などで知られる小説家・安野貴博さんがツイッターで紹介したことで大きな注目を集めた。取材に対し安野さんは、2022年4月17日の昼過ぎに「代官山T-SITE」を訪れ、ポールを発見したと明かした。当時、犬を連れて訪れたわけではなかったが、次のように感じたと述べる。「SF小説家の自分でも犬のためのおしっこ棒(水洗)というのは思いつかなかったガジェットで、悔しいな! と思いました。撮影した日はちょうど『SFカーニバル』という日本のSF作家が多く集まるイベントが代官山で行われていたのですが、SF作家の間でも代官山の犬文化圏はたいへん評判になっており、このおしっこ棒(水洗)はまさにそれを象徴する品だなと思いました」ツイッターのリプライ欄にも「初めてみた!!」「さすがおしゃれな街代官山」と驚く声が寄せられた。安野さんの投稿は26日17時までに1万6000件超のリツイート、10万4000件超の「いいね」が寄せられている。SF小説家も唸る代官山の「犬文化圏」を作り出したのは、TSUTAYAの運営などで知られるCCC。「カルチュアを創り、編集し、提案するクラブ」を掲げる同社は、代官山T-SITEについて、愛犬と一緒に訪れることができる工夫を施設全体に施しているという。SNSでも好評な犬用サービス取材に対し、代官山T-SITEの広報担当者は、近隣に犬を飼っている家庭が多いため、犬と散歩しながら訪れることができるよう施設全体で工夫したと説明する。例えば、施設内には犬のリードを繋ぐためのフックが複数設置されている。フックは犬を象っており、SNSでも「かわいい」「おしゃれ」などと好評だ。このほか、書店に入店するためのケージの貸し出しなども行っている。犬のおしっこ用ポールは、代官山T-SITEをオープンした2011年から設置されている。ペットフードの販売やペットのトリミングを行うお店「グリーンドッグ」の近くに設けられており、誰でも利用できる。導入したねらいについては、次のように述べる。「植栽の保全目的、及び犬がおしっこをした後に流すことを忘れてしまうとその匂いが気になることも考えられますので、このようなポールを導入しました」ポールを利用しない犬の飼い主は、それぞれがアフターケアを行っているという。担当者によれば、ポールだけでなく施設全体でペット用のサービスを提供することで「愛犬と一緒に来られてうれしい」という声が寄せられている。犬を飼っている人々が散歩で訪れ交流することで、飼い主同士のコミュニティも自然発生的にできたという。SNSで施設が注目されたことを受けては、次のようにコメントした。「このポールを目当てに多くの方がお越しになっているということはないように思いますが、書店、ペットサロン、飲食店などが散歩道でつながっている施設ですので、愛犬との散歩でお越しいただくお客様は大変多くいらっしゃいます。愛犬と一緒にお越しいただけるような工夫をこれからも重ねてまいります」担当者は、愛犬と一緒に来ることができる施設を目指すと同時に、動物が苦手な人も同じ空間にいられるようにも取り組んでいくと述べた。
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