2024年 4月 27日 (土)

朝日新聞の要求「あり得ない」と苦言 インタビュー削除騒動、宮台真司氏が公開した「本来の発言」

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   社会学者の宮台真司・東京都立大教授(63)が朝日新聞のインタビュー記事で「重要なポイント」を削除されたと訴えていた問題で、宮台氏は2022年7月22日、削除された部分を取材に公開した。

   宮台氏は、「見識が疑われる削除を要求するのはあり得ない」と朝日に反省を促している。これに対し、朝日新聞社の広報部は前回同様、「編集の経緯や判断への答えは差し控えます」などと取材に答えた。

  • 朝日新聞東京本社
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「旧統一教会がカルト指定されなかったことが大きい」の部分も

   問題にされたのは、7月19日付朝刊やウェブ版に掲載された「元首相銃撃 いま問われるもの」「『寄る辺なき個人』包み込む社会を」などの見出しの記事だ。宮台氏は、この記事について日本の政治の闇を語っていないとの指摘を受け、「自民党と統一教会についてのズブズブ」などについての記述が記事では削除されたと同日のツイッター投稿で訴えていた。

   これに対し、朝日新聞社の広報部は20日、J-CASTニュースの同日付記事で示したように、「個別の記事の編集の経緯や判断につきましては、お答えを差し控えさせていただいております」などと取材に答えていた。

   削除部分はどんな内容なのかについて、ネット上で関心が高まっており、宮台氏は22日、J-CASTニュースの取材にその部分を明らかにした。

   それによると、削除されたのは、主に3つの部分だった。

   まず、朝日の担当記者が「新興宗教の中でも旧統一教会は過去に多くの批判を集めてきました」と宮台氏に見解を求めた箇所。宮台氏は、旧統一教会は2015年に改称されてからカルトとの認識が必ずしも共有されないとして、削除部分でこう語っていた。

「偏った世界観と過度な資金集めを特徴とする宗教団体が、フランス・ドイツなどのようにカルト指定されなかったことが大きい」

自民党と旧統一教会「持ちつ持たれつだ」の部分はバッサリ

   また、戦後韓国で生まれた教会が日本を資金源としてきた経緯に触れた箇所では、次の部分が削除されていた。

「70年代末からは、旧統一教会系の原理研究会が各大学キャンパスで地方から上京したての孤独な新入生を勧誘した」

   さらに、「なぜ『今』事件が起きたのでしょうか」と記者が質問したことに対し、宮台氏が次のように丁寧に説明していたが、その部分がすべて削除されたという。

「90年代にオウム真理教が社会問題化して以降、政治家は宗教団体と距離を置くようになった。だが被害対策の弁護士らによると、民主党政権が生まれたゼロ年代末から10年代初めにかけて両者が再び目立つ形で接近し始めた。自民党の下野から政権奪還に至る過程で、確実な集票を期待できる宗教団体やネット右翼との関係が深まったのだ。教祖が世を去った宗教団体側も、政治家を新たなアイコンとして組織の求心力を維持したがった。持ちつ持たれつだ」

   朝日がこうした部分を削除した経緯について、宮台氏は、次のように明かした。

「朝日は、社会部の取材で確かめてからでないと掲載できないと言っていました。僕は、社会部の取材が追い付かないのは社会部の責任ではないかと申し立てました。朝日は、今回は社会部が勉強課題を負ったということで勘弁してほしいと答えました。これ以上ゴリ押ししても、掲載延期ないし中止になると判断して、僕は受忍しました」

   宮台氏の記事では、「現状はどうですか」との記者の質問に対し、宮台氏が「呼んでも応えない統治権力」を引き合いに出していたが、宮台氏は、削除部分がないとその意味が分からないと朝日に苦言を呈した。

朝日は前回同様「編集の経緯や判断への答えは差し控える」

「どう応えなかったのかは、歴史的事実として記されるべきです。さもないと、『呼んでも応えない』は僕の主観になりさがります。さらに、読者も『どう応えなかったのか』を知りたいはずです」

   削除部分がなぜ「重要なポイント」だったのかは、こうした点にあると宮台氏は説明した。

   朝日新聞が記述を削除した理由について、宮台氏は、自民党と旧統一教会の関係を書くことで「右派」の攻撃や自民党関係者らの抗議を恐れたことや、朝日の社会部より先に書くことによる社内反発を避けたことが理由ではないかと推測した。

   そのうえで、宮台氏は、記述削除を公開した理由について、こう述べた。

「僕が思うのは、朝日の私的社内事情で、外部執筆者宮台の見識が疑われる削除を要求するのはあり得ないということ。現に宮台の見識を疑うようなツイートが複数発見されたので、顛末の一部について情報公開をしました」

   こうした宮台氏の説明についてどう考えるのか、朝日新聞社の広報部に7月22日、再度取材を申し込んだが、前回同様に「個別の記事の編集の経緯や判断につきましては、お答えを差し控えさせていただいております」と回答するに留まった。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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