2024年 4月 25日 (木)

コロナ欠席の東大生、補講認められず留年...救済訴え 一部報道に学部抗議「手続き踏まなかったことが問題」

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   新型コロナウイルス感染症を発症して欠席した講義の補講が受けられず留年が決まったという東京大学教養学部2年の男子学生(19)が、大学に救済を訴えている。

   学部では、単位を落としたのはコロナとは関係ないとして、再検討はしない方針だ。これに対し、学生は、経緯説明サイトを立ち上げ、第3者委員会などを通じての検証を求めている。

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異議申し立て後に、意図的に減点したのではと疑いを持つ

   この問題は、一部新聞が2022年7月17日付朝刊で男子学生の訴えを大々的に取り上げ、学生が8月4日になって、文科省記者クラブで代理人の弁護士とともに会見していた。

   学生が6日に立ち上げたサイトで、会見時に報道機関に公開した文書を投稿しており、それによると、学生は、4、5月は、実験科目をオンラインで受講していたが、5月17日にコロナ陽性になって当日の講義を欠席した。39度超の高熱と呼吸困難の症状になって、1人暮らしの自宅療養で1週間ほど意識がもうろうとする状態が続き、補講を受けるのに必要な欠席届を出したのは、次の講義の翌日だった。

   欠席届は、講義当日の午前11時までの提出になっており、発症時の欠席については、時間が経っているとして補講が認められなかった。その結果、6月17日に単位不認定とされ、留年が決まったという。学生は、同19日に異議申し立てを行ったが、同23日に突然、成績が大幅減点され、欠席とは関係なく評価が及第点に達しないと説明を受けた。

   これは担当教員による意図的な減点ではないかと学生は疑いを持ち、7月28日に大学のハラスメント防止委員会に救済を申し立てた。また、教養学部長に留年決定を回避するよう要請を行った。さらに、8月1日には、東大総長に対し、問題解決を要請する手紙を出したとしている。

   この会見内容を各メディアが報じると、東大教養学部は8月5日、一部報道に対する抗議文を部長名でサイト上のお知らせに出した。

「公平な第三者による調査が必要であると考えます」と訴え

   同学部の抗議文では、留年決定までの経緯についても触れられている。

   それによると、男子学生が欠席した講義があった5月17日夕、学修管理システムに学生がアクセスしたのを確認している。そのうえで、欠席届について、「所定の手続きを取れないほど重篤であったとは認めがたいと考えています」と述べた。「したがって本件は、『コロナ欠席』が問題なのではなく、コロナ欠席であろうとなかろうと、欠席する場合の所定の手続きを踏まなかったことが問題」だとした。

   また、講義への欠席が問題なのではなく、出欠状況や提出した課題の内容と評価から単位不認定としたと説明した。さらに、講義が教員16人による集団指導で運営されており、課題の評価などで特定の個人の意図的な行為が入り込む余地はなかったとしている。

   一方、男子学生は8月6日、経緯説明サイトを立ち上げ、教養学部長の説明に反論した。

   サイトに出した声明によると、学生が最初に講義を欠席した5月17日は、重篤な状態の中で前回講義のレポート課題を何とか提出し、意識がもうろうとして欠席届まで頭が回らなかったという。異議申し立て後の大幅な減点について、他の学生への評価が誤って入力されたためミスを修正したと大学がメディアに説明したとされるが、学生には1か月半も説明がないままで不信感を持ったと明かした。評価にあたっては、集団指導ではなく担当教員が単独で行っているのではないかと考えているとして、「これらの行為の詳細について、公平な第三者による調査が必要であると考えます」と訴えている。

意図的な減点について「主張は全く当たらないと考えております」

   東大の教養学部等総務課は8月8日、J-CASTニュースの取材に対し、担当教員が意図的に減点した可能性については、「主張は全く当たらないと考えております」と否定した。

   減点について、学生からの成績確認申請を受けて精査したところ、5月17日の評価について、誤って他の学生の評価が入れ違って入力され、本来の点数より高い評価が付いていたことが判明したため、他の学生の評価も正しい数字に修正されたと説明した。また、「この成績を入れ違って入力した採点者は取りまとめの教員とは違う教員です」ともしている。

   単位不認定を再検討して学生を救済したり、この問題を検証する第3者委員会を立ち上げたりするなどの考えがあるかについては、こう答えた。

「状況により大学本部と相談しながら対応していくものと考えていますので、現時点で弊学部としてその対応について確定しているものはありません」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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