今年から導入された現役ドラフトで驚きの声が上がったのは、阪神・陽川尚将の西武への移籍だった。
「出場機会が間違いなく増えるでしょう」
西武を取材するスポーツ紙記者は、「右の長距離砲で、本職は三塁だが一塁、外野も守れる。西武はかつて破壊力抜群の山賊打線と呼ばれていましたが、今年はリーグワーストの打率.229。得点も464点でリーグ5位と貧打解消が一番の課題だった。不動の三塁だった中村剛也に衰えが目立ち始め、外野の3枠も固まっていない。パリーグは指名打者があるので陽川は出場機会が間違いなく増えるでしょう。レギュラーを獲れる可能性も十分にある」と期待を込める。
阪神時代は16、17年にウエスタン・リーグで本塁打、打点王を2年連続獲得。18年に自己最多の75試合出場で打率.252、6本塁打、48打点をマークしたが、その後はなかなか1軍に定着できなかった。今季は45試合出場で打率.294、1本塁打、6打点。持ち味の長打は陰を潜めたが、対左投手は打率.357と強さを発揮。代打で20打数8安打、打率.400と好成績を残した。
まだ31歳と老け込む年ではない。本塁打を打った後に、本塁打を打った後にダイヤモンドを一周し、平手で自分の胸を叩く仕草の「ゴリラポーズ」でチームメートと盛り上がるのは阪神の風物詩になっていた。
西武でも「ゴリラポーズ」の機会が増えれば、それだけチームに貢献している証となる。中村、山川穂高と同じ右の長距離砲から吸収できる点は多く、今回の移籍を野球人生の転機にしたい。
陽川は阪神の公式サイトを通じ、「現役ドラフトで移籍が決まったと連絡をいただいて、凄く驚いたというのが率直な心境です。球団の方からも言っていただきましたが、これは自分にとってチャンスだと思いますし、埼玉西武ライオンズで活躍することが、これまでお世話になったタイガースをはじめ、応援いただいたファンの方々への恩返しになると思うので、ライオンズでしっかり結果を出せるように、また1から精一杯頑張っていきたいと思います」と新たな誓いを綴った。新天地での活躍が楽しみだ。(中町顕吾)