「タイパ重視」職場の若者が耳を傾ける話し方の秘訣 上司は「成功体験」語ってはいけない

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飲み会より、まずはランチに誘おう

――なるほど。大いに参考になります。ただし、若者の「タイパ」意識が高いという点が気になります。「どうせ、オッサンなんかと話しても時間の無駄だ」と思われているとしたら、こちらの気もひるみます。

以前、ある若者を飲みに誘おうとしたら、「仕事の話題なら、今ここで話してください」と言われて鼻白んだことがあります。どういう形で誘えばいいでしょうか。

福澤さん 若者にタイパ意識があっても、そこはあまり腹を立てずに「大人の余裕」を見せることが大切ですよ。飲み会より、まずはランチに誘うほうがいいでしょう。夜のお酒と違って、昼の食事は欠かせないものです。その際、Aさんは1対1では身構えるかもしれませんから、同期の若者も一緒に誘うといいかもしれませんね。

心理学に「ジェネラティビティ」(generativity)という言葉があります。「世代継承性」などと訳されます。中高年者が、次世代の若者に対して自分が身につけてきた技術や文化を伝えたいという意識のことです。この意識のもと、次世代に貢献し、感謝されれば、中高年自身も幸せな気持ちになることができます。

自分の人生の終わりが見えてきた頃、この意識があることで、その絶望感を乗り越えていくことができるのです。つまり、下の世代のAさんのために行動することは、自分の幸せにもつながる可能性を秘めています。ぜひ、Aさんとポジティブなコミュニケーションができることを願っています。

(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)


福澤涼子(ふくざわ・りょうこ)さんプロフィール

第一生命経済研究所ライフデザイン研究部研究員、慶応義塾大学SFC研究所上席所員
2011年立命館大学産業社会学部卒、インテリジェンス(現・パーソルキャリア)入社、2020年慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了、同大学SFC研究所入所、2020年リアルミー入社、2022年第一生命経済研究所入社。

研究分野:育児、家族、住まい(特にシェアハウス)、ワーキングマザーの雇用。最近の研究テーマは、シェアハウスでの育児、ママ友・パパ友などの育児ネットワークなど。

注1:田渕恵「先行世代の経験を次世代に活かす:高齢者と若齢者の世代間相互作用」心理学評論63巻(2020)1号

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