「働きがい」について、具体的に答えられない若手社員
たとえば、私が、ある製造業の若手社員にインタビューしたときの話を紹介します。
「あなたにとって働きやすさと働きがいの基準は何ですか?」と訊ねたところ、「働きやすさ」として、休暇の取得や家賃補助など条件を聞くと、具体的なイメージが出てきます。
ところが、「働きがい」に関しては、仕事で成功体験が少ない世代のため、具体的な事例がでてきにくい。なぜなら、仕事を通じて動機付け=モチベーションを高めた経験が少ないからです。
そこで、「お客様から笑顔をいただくとモチベーションがあがる」と回答してくれた若手社員に、こう尋ねました。「具体的にどのような場面で笑顔をいただいたのですか?」と。
さらに、「もう、少し具体的に教えてください」「どうしてモチベーションがあがったと思いますか?」と質問を続けていくと、正確な場面が回答できないことが少なくありませんでした。
あるいは、「本当にモチベーションあがったの?」と思えるような場面しか説明できない人が大半だったのです。
これに対して、もちろん、具体的で「なるほど」と思える働きがい=モチベーションがみつかっている若手社員もいます。
ある社員の話――。その社員は製造部門の改善活動で具体的な提案をすることになり、日ごろから考えていたプランを提出しました。先輩から「やり直し」の要求を何回ももらい、泣きそうになりながら作成しました。
これが結果として、提出したプランが「敢闘賞」を受賞。
さらに、本人は「仕事ぶりが周囲から認められ、その改善プランが現場で活用されるようになり、働きがいを感じました」と語ってくれました。