少子高齢化の人口構造だけで、年金を悲観的にとらえないで
――【図表4】の「年金の支え手を年齢で区切るのは正しくない」という指摘は、なるほどと思いました。少子化が進んでいるものの、高齢者や女性の働き手が増えているため非就業者と就業者の比率がずっと変わらないということですね。実際、日本は先進国の中で働く高齢者が最も多いと言われます。
しかし、これは70歳以上になっても働くべきだということになり、若い世代を委縮させることになる心配はありませんか。私は現在74歳で、仕事が好きなために働いていますが、私の同世代では「本当は悠々自適の生活を送りたいが、働かないと食べていけない」という理由で、非正規雇用で働いている人が多くいます。
前田和孝さん 私が伝えたかったこととして、少子高齢化という人口構造だけで年金制度を悲観的にとらえないで欲しいというのがありました。そのうえで、異なる見方として非就業者と就業者の比率を提示しましたが、個々人が「年金を支えるため」に長く働かなければならないという考えを持つ必要は必ずしもないと思っています。
財政検証における生年度別の65歳時点の年金額の試算も、若い世代が今の世代より高齢になっても働くという前提にはなっていません。より重要なのは、いかに自らの高齢期の経済基盤を安定させるかということだと思います。健康寿命が延伸するなか、長く就労し、収入を得るというのはポイントにはなると思います。
一方で、iDeCoやNISAを活用して資産形成することも選択肢でしょう。公的年金を65歳で受給せず、繰下げて月々の年金を増額させるという手もあります。まずは、公的年金を高齢期の所得を安定させるうえでの柱の1つとして活用してもらうことが重要だと思います。