高額療養費見直し、東京都医師会もNO 消えぬ治療断念の懸念...それでもなぜ急ぐ?厚労省の見解は

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

「高額な薬剤が使われ、保険料負担増が悪化している」

   これに対し、全国がん患者団体連合会では、3月5日にあった参院予算委員会の参考人招致でも、制度見直しをいったん凍結するよう求めたほか、医療関係団体からも、同様に異議を唱える内容の声明が次々に出された。

   日本医師会では、長期治療に配慮した政府の予算修正案を理解する考えが示されたが、東京都医師会は5日、高額療養費制度見直しの凍結を求める緊急声明を公式サイトで独自に出した。そこでは、「所得の低い方は、今回の改正で医療の継続は難しくなります」として、「直接患者さんの命にかかわらない政策から実行に移すなど、都民・国民を巻き込んだ議論をした上で、納得できる削減策を新たに考えていくべきです」と提言している。

   同医師会の尾崎治夫会長は、自らのフェイスブックで「東京都は難病患者さん、癌患者さんも多数おられるので、まず声明を出すべきと考えました」と理由を説明した。

   医療関係者からも懸念が相次ぐ中で、なぜ制度見直しに政府は固執するのだろうか。

   この点について、厚生労働省の保険課は6日、J-CASTニュースの取材に対し、こう説明した。

「医療の高度化で高額な薬剤が使われるようになり、医療給付費が伸びてきており、高額療養費は全体の倍のスピードになっています。ここ10年間見直しがなかった中で保険料負担増が悪化しており、給付と負担のバランスが崩れて制度の存続可能性に疑問符が付くようになりました。もし、今回の修正案が通れば、医療給付費が100億円ほど減額になります。また、制度を見直せば、現役世代の保険料負担の抑制につながると考えています。手を付けやすい制度だからではなく、必要性があって見直しに着手しています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

1 2
姉妹サイト