母が1990年代に購入したワンピースを受け継ぎ、現在も使っている。生地は丈夫で、形もきれい。同じような形のものを探している――。2024年8月のX投稿が当時SNSで注目を集めると、25年4月下旬、その販売元が復刻販売するという異例の事態が起こった。
このワンピースは、通販カタログ大手のフェリシモ(神戸市)が発売したもの。同社の担当者は、復刻した理由について「投稿に込められた想いに心を打たれた」と取材に語る。経緯を詳しく聞いた。
1990年代のワンピースを復刻販売
投稿をXで発信したのは、増永菜生さん。イタリア・ミラノ在住の歴史学研究者だ。24年8月中旬、増永さんの母が90年代に購入したフェリシモの2種類のワンピースを写真で紹介し、同じ形のものを製作依頼したいと投稿した。
異例だったのは、このワンピースを再構築したものを復刻するとフェリシモが発表したことだ。増永さんの投稿が届いていたのだ。同社は25年4月23日、「こちらの投稿に心動かされ、お客さまの思い出が詰まった90年代のワンピースをこのたび復刻販売することになりました」とXで報告した。
プレスリリースでは、次のように商品を説明している。
「時代を越えて着継がれる一着に込められたストーリーに共感し、投稿いただいたお客さまとともに、資料や当時のカタログをもとに令和の時代に再構築しました。30年以上の熟練のパタンナーと協力し当時のエレガンスを現代の感性と技術で丁寧に蘇らせたワンピースは、世代を超えて、思い出とともに受け継がれていく"新しいクラシック"として、今の時代に寄り添う一着です」
フェリシモのオンラインショップでは、4月22日から販売。ブルーとグレーの2種類を用意し、9種類のサイズを展開。価格は税込9020円だ。