AKB48の劇場公演に最も多く出演し、「シアターの女神」として知られる村山彩希(むらやま・ゆいり)さん(27)の卒業コンサートが2025年5月6日、都内で開かれた。昼夜2公演のうち、夜公演では柏木由紀さん(33=24年卒業)ら卒業生が続々と登場。新たな門出を祝った。主要メンバーとしては比較的「遅咲き」とも言える村山さん。その人気を下支えしたのが、本拠地の東京・秋葉原のAKB48劇場で行われる公演だ。ステージ終盤には、「ステージは平等であって、ステージは、ライブは楽しい」ことを後輩メンバーに感じてほしい、などとエールを送った。4年連続で総選挙不出馬&劇場最多出演村山さんは11年、14歳の時に13期生としてAKB48に加入。12回にわたってシングル表題曲の「選抜メンバー」に選ばれる中心メンバーのひとりだ。ただ、メディアに露出するなどして一般的な知名度が上がるのは比較的遅く、初選抜は18年発売の「ジャーバージャ」だった。かつては、知名度が上がるイベントを避けていたほどだ。AKB48グループの恒例行事だった「選抜総選挙」では、立候補制が導入された15年から最後の18年まで、4年連続で不出馬を貫いた。そんな中で村山さんの人気を支えたのが劇場公演だ。14年から17年にかけて4年連続で最多出演を記録している。20年に史上初の累計出演回数1000回を達成し、5月6日時点で1339回を数える。1000回超は現役メンバーでは村山さんのみ。姉妹グループの卒業メンバーを含めても、達成順に村山さん、AKB48の峯岸みなみさん(32=21年卒業)、HKT48の下野由貴さん(27=22年卒業)、上野遥さん(25=22年卒業)、NMB48の石田優美さん(26=24年卒業)、SKE48の斉藤真木子さん(30=24年卒業)の6人だけだ。グループを「先頭で引っ張ってきたわけではないけど」そんな村山さんが「恩人」だと慕うのが中田ちさとさん(34=17年卒業)だ。2人は「僕の太陽」リバイバル公演(16~17年)で共演。中田さんは「非選抜」と言われながらも、劇場公演を守り続けてきたメンバーのひとりだ。腰を痛めた中田さんが、何もないかのようにステージに立っている姿を見て、村山さんは「絶対にこれは継承したいと思って、『シアターの女神になります』と宣言」したという。2人は「僕の太陽」公演内の楽曲「夕陽を見ているか?」を一緒に披露した。終盤には赤と白のドレスで登場。あいさつの中で、グループを「先頭で引っ張ってきたわけではないけど」とする一方で、後輩に「『ステージは平等であって、ステージは、ライブは楽しいんだよ』ということを、何か感じ取ってくれていたら」とエールを送った。「誰にも知られずに努力している自分かっこいい」が自信に終演後の取材でも、劇場公演への思いは語られた。グループ活動で「辛かった思い出」を聞かれた村山さんは、「やはり『劇場に立つメンバーが非選抜である』みたいな常識が、すごく悔しかった」。次のように、劇場公演への注目度が上がる必要性にも言及した。「選抜も、もちろんキラキラしているけど、劇場も同じくらいキラキラさせたい、という風に思えたのは、ちぃちゃん(中田さん)のおかげだったので、そういう意味では、注目を浴びていないAKBの劇場って悔しい、というのがあった」出演1000回超の記録が「誰でもできることじゃないんですよね?」という問いには「メンバーの中でも得意不得意とか、振り(振りつけ)覚えが早い遅いあるので、一概には言えない」としながら、「劇場の魅力を教えてくれたメンバーがいたというのが基本、大きくて、そこから『誰にも知られずに努力している自分かっこいい』と自分で思えるのが自信につながって、ステージに立つのがうれしくなった」と振り返った。村山さんは自身の28回目の誕生日にあたる6月15日にAKB48劇場で卒業公演を開き、正式にグループを離れる。卒業後も芸能活動を続ける意向だ。(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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