プロボクシングの元世界2階級制覇王者・畑山隆則氏(49)が、2025年6月9日に公開されたユーチューブ動画「竹原テレビ」に出演し、WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M・T、27)のボクシングスタイルについてアドバイスを送った。
「西田君は負けたけど、自分の価値を上げた」
中谷は8日に東京・有明アリーナで、IBF世界バンタム級王者・西田凌佑(六島、28)と2団体王座統一戦を行い、6回TKO勝利で王座統一に成功した。
試合は、中谷が1回から強引に攻め込み主導権を握った。対する西田も強気に応戦し、激しい打ち合いが展開された。
バッティングによって腫れた西田の右目上が、4回過ぎから、さらに大きく腫れあがった。6回にはほぼ右目が塞がった。右目上の腫れに加え、右肩を脱臼したことで西田陣営は棄権を決断。中谷がTKO勝利で王座を統一した。
中谷は試合後、改めてスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、32)との対戦をアピール。スポーツ紙の報道によると、両者は26年5月にも対戦が見込まれる。
西田戦を映像で見た畑山氏は「いい試合だった」と振り返り、「西田君は負けたけど、自分の価値を上げた。これでやめたらもったいない。中谷チャンピオンは、(王座を)返上して上に行くだろうから」と語った。
そして、井上戦を見据えた上で、西田戦で披露した中谷のボクシングスタイルについて言及した。
「結局、中谷君は倒していない」
中谷が1回から真正面から打ち合いを挑んだことに関して、「(井上に対して)これはない」とし、その理由を説明した。
「これは絶対にしない。井上チャンピオンにこれをやったら倒されちゃうよ。倒す可能性もあるが、倒される可能性の方が高い。(井上戦では)こういう戦い方をしないと思う。倒す可能性もあるかもしれないが、倒される可能性が増すので、その選択(真正面からの強引な打ち合い)はしないと思う」
西田戦では、強引なボクシングで終止攻めの姿勢を崩さなかった中谷。左クロス、左右アッパーを再三、西田に打ち込むもダウンシーンはなかった。
西田の棄権によるTKO勝利に、畑山氏は「ひとつ言えることは、結局、中谷君は倒していない。相手の棄権によってTKO勝ちはしたが、倒していない。西田の打たれ強さはもちろん称賛するが、いずれにせよ倒れていない。1階級上げれば、相手の耐久力も上がる」と指摘した。
スポーツ紙の報道によると、中谷は今後、井上戦を見据えて階級をスーパーバンタム級に上げ、同級世界ランカーと対戦する可能性が高いという。