Appleが最新OS『iOS26』を発表したちょうどその頃、Googleも新OSである『Android16』を発表、正式リリースした。このAndroid16は、Pixelシリーズへの対応を優先し、その後他機種へ順次展開の予定だ。このOSは「洗練された最新の通知機能」という触れ込みで新機能「ライブアップデート」の使い勝手を前面に押し出している。ライドシェアアプリやフードデリバリーアプリなどを利用する際、「自分の手配した車両が現在どこにいるのか、いつ頃到着予定か」を通知で確認することができるという。「日本版ライドシェア」はライドシェアではない!?日本では、ライドシェアアプリは普及しつつあるものの、まだ市民生活に定着しているとは言えない。そもそも、日本に今ある「日本版ライドシェア」や「公共ライドシェア」は、本来の「ライドシェア」とは全く異なるものといえる。タクシー免許のない自家用車に旅客輸送をしてもらう、というのが本来のライドシェアサービスで、海外で行われているものである。もっとも、最近では「陸運当局の営業許可がない」ということが問題視され、ライドシェア車両にも営業許可の申請を課す国もあるが......。いずれにせよ、海外ではスマホアプリで手軽に手配できるライドシェアサービスが普及、浸透している。ライドシェアなしでは普段の移動は成り立たず、生活インフラのようになっているのだ。UberEartsなどのフードデリバリーは、もともとはライドシェアから派生したサービスである。アプリの不便を解消する設計とはいえ、実際に海外でライドシェアサービスを使ってみると、そこには「便利と不便」が混在していることが理解できるだろう。筆者も経験したが、スマホアプリでライドシェア車両を呼び出せるのは確かに便利だが、車両の現在位置を常時把握するために結果として「アプリを開きっ放し」にする必要が出てくるからだ。他のアプリを使うためにライドシェアアプリを閉じても、数分後にはまたライドシェアアプリを開いて車両の現在位置を確認......ということを繰り返さないといけない。その手間を省くための機能が、Android16に実装されたライブアップデートである。ライドシェアアプリを開かなくとも、「車両がそろそろ指定した場所に到着しそう」「配達員はさっき飲食店を出て、こちらに向かっている」ということが通知に表示されるのだ。直通電話に代わる連絡手段になるか?上述したように、日本国内のライドシェアは、本来の(海外で行われている)ライドシェアとは全く異なる仕組みである。日本のライドシェアは、一言で言えば「タクシーの補完」。タクシー免許を持っていないドライバーを使うことには変わりないが、運行管理はタクシー会社が行う。日本版ライドシェアと公共ライドシェアの違いは、一言で端的に表せば法的区分の違いである。ただ、より重要なのは「タクシーとライドシェアを呼び出す方法」だ。GOやUberなどの配車アプリは、各地の日本版ライドシェアや公共ライドシェアとの連携を次々と発表している。これは文字通り競争であり、陣取り合戦である。国際共通型ライドシェアの運行ができない日本ではあるが、それでも配車アプリ自体は少しずつ、そして着実に普及しつつある。居酒屋やスーパー銭湯などに置いてある「タクシー会社直通電話」も、いずれはスマホアプリに活躍の場を奪われるだろう。そうした「タクシー呼び出しのDX化」に、Android16が果たす役割は小さくないかもしれない。(澤田真一)
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