「この辺りの階級は、シンプルに競技人口が多い」
「この辺りの階級は、シンプルに競技人口が多い。競技人口ががぜん増えるので、ライト級あたりから全体的にレベルが高くなる。ひとえに競技人口の多さ。その中で切磋琢磨しているから、レベルも必然的に上がってきます。アマチュアにしても競技人口が多いので、その中で勝ち上がっていくのが難しい。そういう状況の中で、プロになり、プロの世界で勝ち上がってくるからレベルが高い」
そして、ノーマン対佐々木戦を振り返りながら、ウエルター級王者のレベルの高さに言及した。
「今回のノーマン選手もそうだが、ウエルター級には、パンチのスピード、パワー、滑らかさを備えた選手が多く、切り替えのスムーズさが段違い。ミドル級で、竹原(慎二)さんや、村田(諒太)さんが王座を取ったように、いずれはウエルター級でも王座を取る選手が現れると思います。ただ、ものすごく高い壁であることは間違いでしょう」
日本においてウエルター級は、中量級から重量級の間の階級とされ、軽量級に比べると競技人口は少ない。重量級が豊富なロシアでボクシングを学んだ経験を持つ金平会長は、日本と海外の練習環境の違いを指摘し、こう分析した。
「日本と海外の練習環境には違いがあります。練習相手ひとつにしても、日本には世界的な高いレベルにいる選手がなかなかいない。日本ボクシング界悲願のヘビー級王者にしても、いずれ誕生すると信じていますが、現状、すべての練習環境を含めて、環境を整えるのは難しい。ファイトマネーにしても、ウエルター級あたりになると桁が違ってくる。そのファイトマネーを求め、必然的に激戦区となる」
現在、スーパーバンタム級(55.3キロ)は、井上が主要4団体の王座を統一。1つ下のバンタム級(53.5キロ)は、休養王者を含め、4人の日本人選手がそれぞれ世界王者として君臨し、軽量級は充実している。
果たしてこの先、ウエルター級に日本人世界王者が誕生するのか。若きファイター、佐々木の今後に注目が集まる。