博士課程まで進んでも働けない―日本の教育事情
中国人留学生が増える一方、日本人の博士課程進学者は減少している。修士修了者の博士進学率は、1981年の約18.7%から2020年には9.4%にまで下がった。
文科省は研究力の低下を懸念し、特に科学技術分野での人材育成が必要としているが、改善は進んでいない。
その要因には経済的負担に加え、日本社会特有の課題もある。
博士号を取得しても、大学教員や研究職の枠は限られている。さらに、年功序列が根強く残る日本企業では、年齢が高くなるほど就職が難しくなる。
文科省の「平成30年度学校基本調査」によると、博士課程の就職率は67.7%で、学部卒の86.6%よりも20ポイント近く低い。
このような状況では、「大学院に進んでも意味がない」と考えるのも無理はない。
研究力は国際競争に欠かせない。SPRINGに限らず、より広い視点からの制度改革が求められる。