参院選公示日の前日にあたった2025年7月2日の兵庫県・斎藤元彦知事の定例会見は、選挙に絡んで、24年の兵庫県知事選でクローズアップされた「SNSによる誹謗中傷や誤情報の拡散」と、いわゆる「2馬力選挙」について知事の見解を問う記者からの質問が続出した。会見の3日前には、姫路市で斎藤知事の辞職を求めるデモが行われた。会見中、会見室の外から「斎藤やめろ」のコールが頻繁に、はっきりと聞こえてくる異様な状況だった。「2馬力はいけない」とは明言せず参院選を前にした6月27日、与野党7党の協議会はSNSでの誤情報・虚偽情報の拡散や、候補者が自分の当選を目指さず他候補を応援する、「2馬力」行為の対応について声明を発表した。これらが選挙の公平性を阻害していると問題視した内容だ。「2馬力」について見解を問われた斎藤知事。選挙においては各候補者が自らの政策や理念を主張し、有権者がさまざまな手段を活用して情報を得て投票行動に移してほしいと答えた。ただ、「2馬力はいけない」といった直接的な表現は使わず、類似の質問を受けても同じような答え方に終始した。SNSによる虚偽情報の拡散や誹謗中傷についても、複数の記者から質問が出た。知事は、「個人でSNSを適切に使うのは大事なこと」とは述べるものの、「SNSで誹謗中傷しないで」といったダイレクトな表現は避けた。記者のひとりから、参院選中の対応として「県民に『虚偽情報を拡散しないように』との呼びかけを、知事からはしないのか」と質問されたが、「基本的に有権者への呼びかけは、選挙管理委員会が行うもの」と答えた。拡散続くが「担当部局が法律に基づいて対応」SNSに絡んで会見で指摘された問題が、元西播磨県民局長の私的情報の流出だ。本人の公用パソコンに保存されていた情報を、第三者から提供されたNHK党・立花孝志党首がSNSに投稿。兵庫県は5月27日、情報流通プラットフォーム対処法に基づいてSNSの運営会社2社に、投稿の削除を要請した。会見で知事に質問した記者のひとりは、削除要請後も立花氏が過去の投稿を削除しておらず、新たな投稿もしており、拡散が続いていると指摘。これについて斎藤知事は、「担当部局が法律に基づいて対応している」と説明した。一方で「知事として私的情報を再拡散しないよう、呼びかけないのか」を何度か問われたが、「適切なSNSの利用は大切なこと。県としてはさまざまな形で対応している。引き続き呼びかけていきたい」といった趣旨の回答にとどまった。
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