元格闘家のエンセン井上氏(58)が、2025年7月9日にユーチューブを更新し、K-1の元3階級制覇王者・武尊(33)が、SNSでK-1時代の契約内容を告白したことについて、「結局みんなサインをした」などと反論した。
「選手を食い物にするような経営構造には黙っていられない」
武尊は6日にXを更新し、K-1時代の待遇について振り返り、「命懸けで戦ってるK-1ファイター達に敬意あるファイトマネーと怪我の治療費の保証やプロのアスリートに相応しい待遇をしてあげてください」などと訴えた。
ことの発端は、K-1の前プロデューサーであるカルロス菊田氏がSNSに投稿したコメントだ。
菊田氏は6日にXを更新し「ONEに関する記事。長い英語です。簡潔に日本語でまとめると以下!『崩壊寸前!赤字9,000万ドル、累積損失5.3億ドル、選手もスポンサーも逃亡中。試合ゼロ、放送契約崩壊、投資家は後悔。もはや延命処置だけが命綱!』継続は力なり!」とのコメントを投稿。さらに、次のようなコメントを投稿した。
「ONEの問題点は公表された財務資料と報道に基づく事実であり、累積赤字5.3億ドル、放送契約の崩壊、選手の離脱が続くという『業界全体への警鐘』です。『命懸けで戦ってる選手』に敬意があるからこそ、選手を食い物にするような経営構造には黙っていられないのです。裏側が腐っていれば、選手がどれだけ努力しても報われない。だからこそ、声を上げる価値があると思いませんか?格闘技業界を愛しているからこそ、幻想や虚飾のビジネスモデルにNOを突きつけたい。それがK-1を愛していた者の責任だと思っています」
格闘技団体「ONE Championship」(ONE)を主戦場としている武尊は、菊田氏の投稿に反応。かつてK-1と選手契約を結んでいた自身の経験から、K-1の選手への待遇に関して、詳細に告白した。
「地方での試合以外は試合前のホテル代も自腹」
「トーナメントで一日3試合して身体ボロボロになって戦ってもファイトマネーは1試合分。それで大怪我して入院したり手術をしても治療費は自腹。地方での試合以外は試合前のホテル代も自腹。選手を契約で固めて自動更新され続けて契約期間中に辞める時には今までもらった全てのファイトマネーの何倍もの金額の違約金。契約満了で辞めても契約終了してからの半年間優先交渉期間として他のどこの団体とも契約できない干される期間も付いてくる。そんな団体が他の団体を選手を食い物にするとか裏側が腐ってるとか選手が報われないとか言えますか?」
現役の人気選手の衝撃的な告発に、井上氏は「武尊はすごくいい人だし、尊敬しているし信用できる選手だから、武尊がそういうことを言うのは、すごいインパクトがある。武尊は今、ONEの選手で、カルロス菊田がONEの悪口を言った。武尊はONEを守ろうとして、そういう話をした。だから武尊が話をした意味は分かる」と一定の理解を示した。
一方で、K-1の契約が厳しいのは「ビジネスだから当たり前」とし、武尊の主張に苦言を呈した。
「武尊が言っている契約の内容を聞くと、『それひどいな』と思うが、俺の意見は、それでも選手が契約にサインをしたということ。ホテル代は自腹とか、武尊はいろいろ言っていたが、それは全部契約に入っているはず。K-1の選手は、契約に文句があればサインをしなければいい」
そして、こう続けた。
「K-1の契約が厳しいといっている選手は、結局みんなサインをした。武尊の気持ちは分かる。選手としてもっといい契約がほしいとか、気持ちは分かるが、武尊も結局サインをした。契約の自動更新もそう。それも契約書に書いてある。選手が何も言わなければ自動に更新されると。だから自動更新に文句を言うのはありえない」
キックボクサーの武尊は、長らくK-1のリングで活躍し、K-1史上初の3階級制覇を達成。現在は「ONE」を主戦場として活動している。