「○億円の男」「支配人」宣伝にNGに 厳しい法改正で、変化を余儀なくされる「ホスト業界」の悲鳴

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規制による客のトーンダウン、ホストクラブが生き残る術は?

   ホストクラブで大金を落とす女性は「優越感に浸りたい」、「自分だけにしかない特別感を味わいたい」という想いが非常に強い。承認欲求や自己顕示欲が抑えきれない人も多く、日常での「何か」が物足りないから足繁く店に通うのだ。

   手が届きづらいハイクラスな男性を欲するなら、指名するホストの肩書は絶対に外せないポイントの1つ。ホストクラブにおける役職陣はキャストとしての優秀さを表すバロメーターであり、指名客にとって担当の肩書き=最高のステイタスだ。

   よく結婚相手がハイスペ男子で「うちの旦那、すごいのよ」と自分のことのように自慢する女性がいるが、役職に目がくらむホスト狂いはこの手のタイプと酷似している。

   彼女たちは自慢できる男性を隣に置くだけではなく、競い合うのも好きだ。店内の売り上げバトルに燃える女性は一定数いて、高額オーダーで勝ち抜くと妙な快感を覚えるらしい。そもそも売り上げバトルやランキングの提示は働き手の意識を高めるものなのだが、同時に客同士の戦闘心に火をつける作用もある。

   新ルールにより肩書き禁止、競い合いやランキング発表も撤廃となれば、「なんだかやる気が失せた」と、お金を使う人口が減る可能性が高いかもしれない。今までそのあたりを楽しんだ客からすると、淡々と金を落とし続けたところで味気ないからだ。

   歓楽街はもう、役職や売り上げバトルで客を引っ張るだけでは通用しない時代へと突入した。今後ずっと同じ規制が続くかはわからないけれど、今はたいへんやりづらい状況である。

   ルール改変後のホストが生き抜くには、従来の概念を取り払ったエンターテインメント性を身につけなければならないだろう。別の方向へと考えをシフトし、かつてのやり方を切り離すのが一番の課題といえる。

   悪質ホストの行為はいただけないが、規制を強めたところで根本解決にはならないと筆者は考える。厳しい罰則になればなるほどグレーゾーンの道が出てくるもので、ホストクラブに類似したビジネスは他にも存在するからだ。「Aがだめなら、Bへ」と客がふらり、ふらりと動けばルール改変の意味をなさない。

   夜のお店だけではなく他に影響を与えているのも、「規制があるから良い方向へ転ぶとも限らない」と私が思う理由の一つ。表向きだけ綺麗に整えても、裏の世界がさらに澱むならその政策は「失敗」でしかないのである。



【プロフィール】
たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。

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