通信販売大手のニッセンが2025年7月28日、公式Xで公開していたオリジナルキャラクターに関する声明を発表し、「生成AI」の使用疑惑を否定した。
争点となったのはオリジナルキャラクター「日泉維那」
波紋を広げているのは、ニッセンが25日に公式Xで公開した同社のオリジナルキャラクター「日泉維那(ひいずみいいな)」のイラストだ。
紫に黄緑の裾カラーが入った短髪の青年で、イラストはニッセンのロゴ入りTシャツを着てピースをしたもの。年齢や誕生日、好きな食べ物などのプロフィールも併せて紹介されていた。
この投稿に対し、SNSでは「画像生成AIを使っているのではないか」との指摘が相次いだ。AI生成画像にありがちな「指先の乱れ」や絵柄への違和感などを訴える声が上がったものだ。
こうした指摘を受け、ニッセンはキャラクターの制作過程として、水色のシャープペンシルで描かれたラフ画像とデジタルでの線画を公開し生成AIの利用を否定した。しかし、ラフ画像や線画に対しても違和感があるとの指摘が続き、疑惑の払拭には至らなかった。
生成AIによるイラストの出力をめぐっては、誰でも手軽にクオリティの高いイラストを制作できる反面、学習元となるイラストの著作権の取り扱いや、「絵柄」の無断学習といった問題を孕む。とりわけ、商業利用における透明性や説明責任を求める声は根強い。
「生成AIは使用しておりませんでした」
ニッセンは28日、「ニッセン作成キャラクターに関して」との声明を公開した。
「このたび、ニッセン作成キャラクターに関して『生成AIを利用しているのではないか』というお問合せを複数いただいております」とした上で、制作過程について説明した。
「ニッセン作成キャラクター『日泉維那(ひいずみいいな)』については、弊社X担当にて原画を起こし、イラスト制作からグッズ化まで関連部門スタッフと連携し実現したキャラクターとなります」
「弊社にてキャラクター完成までの一連の工程を確認いたしましたところ、生成AIは使用しておりませんでした」
ユーザーに対しては、「弊社公式アカウントを応援していただいていたお客様に疑念を抱かせることとなり、心よりお詫び申しあげます」としている。
なお、同社は26日までに一連の投稿を削除した上で「企業アカウントで個人のイラストについて論議が続いておりますので、イラスト関連のポストは追って削除をさせていただきます」と説明していた。
再度疑惑を否定したニッセンだが、SNSでは「ニッセンのイラストの件、生成AI利用云々よりも、企業の広報が小学生でもわかるレベルの嘘を消費者に向かって吐いてることの方が嫌かも...」「ニッセンに限らず別にAIを使っていても使いましたと言えばいいだけなのに企業が頑なに手描きにこだわるのは何故なんだ」など、未だ厳しい声が目立つ。
ニッセン公式サイトでは30日現在も、「大好きをはこぶ! ひみつのときめきワゴン」や「大切な推しを連れ歩く 缶バッジ収納コンパクトミラー」といった商品の紹介ページにおいて、「日泉維那」をあしらった缶バッジやアクリルスタンド、うちわなどのオリジナルグッズが掲載されたままとなっている。
ニッセン作成キャラクターに関して pic.twitter.com/DNYMW1mF1t
— ファッション通販のニッセン (@nissen) July 28, 2025