WRC参戦メーカー特別仕様車の付加価値
現在の日産にも、そんな付加価値を生むクルマと巧みな戦略があればと願うが、残念ながら、現実は今の体たらくだ。
ともあれ、本来の特別仕様車は単にアクセサリーを満載したクルマであってはならない。かつて1990年代から2000年代にかけ、世界ラリー選手権(WRC)に参戦したトヨタ自動車、SUBARU(スバル)、三菱自動車工業などは、ほぼ優勝するごとに特別仕様車を発売していた。
今になって思えば、日本車の絶頂期だった。トヨタやスバルなどはモータースポーツの戦績から来る高性能なイメージを市販車に結びつけることができた。競技用の部品の一部を市販車に取り入れた当時のWRC参戦メーカーの特別仕様車は、付加価値が高く、今も中古車市場で高く取引されている。
今ではモータースポーツの戦績に連動した特別仕様車など、トヨタやスバルなど一部のメーカーに限られる。もちろん少数派に属するが、それゆえにリセールバリューを考えても、購入する価値はあると筆者は考える。
換言すれば、ユーザーが特別仕様車の付加価値を理解し、購入するだけの価値があると判断できるなら、特別仕様車を買っても損はしないだろう。きっと価格に見合った満足感を得られるはずだ。そうでなければ、当たり前だが、見送るべきだ。
(ジャーナリスト 岩城諒)