トイレに流せるとした「トイレクリーナー」が各社から販売されているが、本当は流すと詰まる危険があると、一部の関係者がXで指摘している。
消費者庁では以前、水でほぐれたのは一部の商品だけだったとして、業者に改善を促したことがある。その後、業界の自主基準が設けられ、各社は注釈を付けて販売してはいるが......。
消費者庁の過去調査では、水でほぐれたのは2商品だけ
シートでトイレを掃除した後、流せるタイプは、シートごと捨てられるので、とても便利だ。
各社では、「流せるトイレクリーナー」などとうたって商品を出しているが、一部の設備関係者が2025年8月11日、これらをトイレに流すべきではないとX上で呼びかけた。
トイレットペーパーと違って詰まりやすく、その報告も多いという。水が大量に流れない「節水型」のトイレは、特に詰まりやすいとしている。
流せるトイレクリーナーを巡っては、消費者庁が2012年12月21日、その表示に関する実態調査結果を発表して、注意を促した。
発表は現在、同庁のサイトから削除されているが、産経新聞の13年2月28日付ウェブ版記事によると、同庁がトイレクリーナーの市販品十数点について、トイレットペーパーの日本工業規格(JIS)「ほぐれやすさ」の品質試験を行った。その結果、トイレットペーパー同様にほぐれたのは2点だけだったという。こうしたことから、同庁では、「ほぐれやすさの試験をクリアしないトイレクリーナーを『トイレに流せる』『水にほぐれる』と表示するのは景品表示法の優良誤認にあたる」と警告した。
記事では、トイレクリーナー各社が改善しない場合、景品表示法による措置命令を行うと同庁が説明したとしている。
その後、業界団体の日本衛生材料工業連合会では、14年に業界の自主基準を設け、流せるトイレクリーナーとうたう場合は、トイレットペーパーのJIS品質基準に適合することなどを求めている。
トイレメーカーは「ペーパーと同等の性能」を求める
トイレに流せることをうたった各社の商品では、こうした基準に合っていることを明示している場合も多いようだ。
「トイレクイックル」を製造・販売する花王(東京都中央区)では、公式サイトのQ&Aで、「トイレがつまると言われたのですが?」との質問に対し、トイレットペーパーのJIS基準を満たしているとして、「正しくお使いいただければ、トイレのつまりの原因となることはありません」と説明した。ただ、「使用後は1枚ずつ流してください」と呼びかけ、「トイレの流れが悪くなっている時は流さず、燃えるごみとして出す」とアドバイスしている。
また、「エリエール」ブランドでトイレクリーナーの各種商品を製造・販売する大王製紙(東京都千代田区)は、公式サイトのQ&Aで、シートをたくさん流したらトイレが詰まったと聞かれ、「シートは1枚のみで流していただくよう設計しています。流す際は、『大』の水量で流してください」と説明した。シートについては、「水流・水量・水圧などによって、繊維がばらばらになるようにしています」としている。
一方、水洗トイレのメーカーでは、トイレットペーパー以外を流すことについては、慎重な姿勢も見られた。
大手のTOTO(福岡県北九州市)は、公式サイトのQ&Aで、「トイレに流せるシート、流せるお尻拭きなどのシートは流してもよいですか?」との質問にこう答えている。
「トイレットペーパー以外のものは流してはいけません。トイレに流せる、とうたわれている紙でも、トイレットペーパーと同等の性能がない場合があり、故障の原因になることがあります」
トイレットペーパーと同等の性能が何を指すかは不明だが、少なくともトイレットペーパーのJIS基準を満たしていることなどが求められているようだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)