プロ野球ロッテの元投手で経営学者の小林至氏(57)が、2025年8月27日にユーチューブを更新し、26年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の放映権をめぐる問題を、経営の視点から解説した。「日本のマーケットは宝の山。1500億円の可能性がある」WBCの放送をめぐり、米動画配信大手「ネットフリックス」は26日、日本国内で独占配信することを発表した。同社によると、WBC全47試合を独占生配信し、オンデマンド視聴も可能だという。WBCは、第5回大会まですべて地上波放送があり、23年に開催された第5回大会は、テレビの地上波とネット配信で中継された。スポーツ紙の報道によると、第6回大会はテレビの地上波放送がない見通しだという。放送権料が大幅に高騰した影響とみられる。ソフトバンクでフロント業務の経験を持つ小林氏は「いつかこのようになるだろうと思っていました」と切り出し、ネットフリックスが野球コンテンツを独占配信することになった経緯を、次のように解説した。「(3月の)ドジャースとカブスの東京シリーズの時に、MLB(大リーグ機構)は、キャンペーン期間から刈り取りに入るのではないかと思いました。あの時コミッショナーが、アメリカメディアとの記者会見で、『日本のマーケットは宝の山だね。1500億円の可能性がある』と答えていた。刈り取りに入ったということなのだと思う」そして、スタッフから「地上波で毎回、高視聴率なのに今回なぜ全試合ネット配信になったのか?」と質問されると、こう答えた。「ネットフリックスは100億円を軽く払っていると思う」「主催者の立場、つまりMLB、WBCI(ワールド・ベースボール・クラシック・インク)。WBCIというのは、MLBとMLB選手会のフィフティフィフティの共同出資の会社で、運営はMLBの方々がやっている。だからMLBのイベントなんですよ。MLBにとっては、そっちの方が儲かるからということ」小林氏は、すでに米国ではインターネット配信放送の視聴時間が、テレビの視聴時間を超えており、日本もそうなりつつあると指摘。このような背景の中、「実際、地上波が払えるのは、CM収入から考えると、日本が決勝まで行ったとして、全部で15億円から20億円程度が限界だと思う」とし、次のように持論を展開した。「CM収入がサッカーワールドカップ並みに、例えば30秒300万円としても、1試合3億円。これを目いっぱい、1試合で(CMを)100本差し込んで3億円。6試合で18億円。これが地上波放送局の入りです。ここから製作費もかかる。WBCIに払う放送権料は、15億円払えるかどうか。一方で、ネットフリックスは100億円を軽く払っていると思う」プロ野球をはじめとするスポーツマネジメントに精通する小林氏は、スポーツコンテンツを取り巻く現状について、海外と日本を比較しながら、こう解説した。「放送権料は世界的にものすごく高騰している。そういう中で日本だけが、失われた30年という言われ方をするが、まさにデフレ。デフレ日本、江戸時代。黒船が来て、ドーンと大砲一発で、スポーツコンテンツマーケットが、ガラガラガラと動こうとしているところ」ネットフリックスによる「WBC独占配信」のニュースは、インターネット上で大きな話題となり、Xでは「初心者や野球興味無い方が興味持つ機会が狭くなるのは悲しくなるな」「野球そのものの人気がまた下がる恐れありやね」「サッカー日本代表の二の舞やん!」「こういうのは日本の野球文化に合わない!!」「WBCを見れない野球少年たちが出てくるね」「野球人気も終わるかもしれない」などの声が上がった。WBCで大会2連覇を目指す日本代表は、オーストラリア、韓国、チェコ、台湾と同組のプールCに属し、3月6日の台湾戦が初戦となる。
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