大型書店チェーン・紀伊國屋書店の本町店(大阪市中央区)がXに投稿した書籍紹介ポストをきっかけに、一部から「ヘイト本」などとする批判を受けていた書籍が2025年9月1日、Amazonの「新潮新書の売れ筋ランキング」で1位を獲得した。
「差別的な表現を助長しかねない可能性があったことを真摯に受け止め」
話題を集めているのは、ルポライターの石神賢介氏による著書「おどろきの『クルド人問題』」(新潮新書)だ。
本町店は8月31日、Xを通じて【新書おすすめ】として同書を紹介。「実際に埼玉県川口市に住んでみることで見えてきた、『多文化共生』という理想と現実のおどろくべきギャップ。現地から生まれた体感型ノンフィクション!」などと説明した。
すると、この投稿に対し、埼玉県の鶴ヶ島市議会議員・福島恵美氏が「書店としてさまざまな本を置くのは100歩譲って認めるとして、せめてヘイト本を宣伝しないで欲しいです」と反応。「今からでも宣伝をやめ、ヘイト本は『ヘイト本研究棚』でも作ってそこに収めてください」と批判した。
本町店は批判の声を受け、「差別的な表現を助長しかねない可能性があったことを真摯に受け止めております」などとして投稿を削除。お詫び文を公開していた。
SNSでは同店の対応を支持する声もある一方で、投稿の撤回に懐疑的な反応も多く上がり、波紋を広げていた。
「炎上商法のおかげでベストセラー1位になってしまいました」
こうした中、同書は9月1日、Amazonの「新潮新書の売れ筋ランキング」でベストセラー1位に躍り出た。
Kindle版は販売中だが、新書版は一時的な売り切れ状態となり、「通常1~3週間以内に発送します」との表記となっている。
SNSでは、こうした流れについて「福島さんの宣伝のおかげで、ベストセラー1位になったとの事です。おめでとうございます」「炎上商法のおかげで『おどろきのクルド人問題』ベストセラー1位(論文集)になってしまいました。おめでとうございます」などとする反応が相次いだ。
問題の発端となった福島氏は1日、「#新潮社は差別を認めてください ↑ この抗議アクションにも参加したかった。暑い中、たくさんの人が抗議している模様。おつかれさまです。鶴ヶ島から連帯します」と投稿するなど、同書への批判を続けている。