読売新聞、石破首相「退陣」誤報を謝罪も...検証記事で「虚偽説明」主張 毎日も「進退に結論が出た段階」で掲載検討

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   読売新聞は2025年9月3日付朝刊で、石破茂首相が退陣する意向を固めたと報じた25年7月下旬の記事について「結果として誤報となった」と謝罪した。取材と記事化の経緯を検証した結果、同紙が報道した後、石破氏が翻意した可能性があるとの見解を示している。

   SNS上では、石破氏の「退陣」に関する読売新聞の記事を「誤報だ」などと指摘する声が相次いでいた。さらに、毎日新聞にも同様の声が上がっている。同紙も同時期に、石破氏が8月末までに退陣を表明すると報じたからだ。

   毎日新聞社社長室広報ユニットは9月3日、検証記事について「首相の進退に結論が出た段階での掲載を検討しています」とJ-CASTニュースの取材に答えた。

  • 毎日新聞社
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  • 読売新聞の2025年9月3日付朝刊に掲載された検証記事
    読売新聞の2025年9月3日付朝刊に掲載された検証記事
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「結果として誤報となった」経緯を説明...「翻意する可能性」考慮すべきだった

   読売新聞は7月23日の夕刊1面と号外、翌24日の朝刊1面で「石破首相退陣へ」と題する記事を報じた。たとえば読売新聞オンラインで配信された23日付の記事では、「月内にも退陣を表明する方向だ」としている。

   読売は9月3日朝刊(東京本社最終版)で、1面の2番目の項目と、8面全体を使って検証記事を掲載。記事が「結果として誤報となった」ことの経緯を説明した。それによると、石破氏は7月22日夜、「(日米)関税交渉の結果が出たら、辞めてもいいと思っている」と周囲に明言。8月1日召集の臨時国会前に記者会見を開いて表明することにも言及していたという。

   また、読売新聞は7月23日朝、意向に変化がないか改めて取材すると、石破氏は「今日は発表しない」と述べつつも、退陣意向に「変わりはない」との認識を示したとする。その上で、読売新聞が号外で報じると、石破氏の態度が一変したという。

「(石破氏は)参院選公約での消費税減税の是非、戦後80年の首相談話の発出などを巡って、言動が揺れ動くことが少なくなかった。こうした経緯から、首相が翻意する可能性があることも考慮しておくべきだった」

検証記事では、このように結論付けている。

   検証記事はウェブサイトにも掲載。「進退、揺れ動く首相...石破氏が虚偽説明」の見出しで、紙媒体にはない次の1段落を加えて経緯を説明した。

「読売新聞は、石破首相の発言をもとに退陣意向を報道したが、首相は様々な場で『自分は辞めるとは言っていない』と繰り返している。こうした虚偽の説明をされたことから、進退に関する首相の発言を詳細に報じることにした」

7月の「退陣へ」記事は「引き続き取材を続けています」

   毎日新聞も7月下旬、石破氏について「退陣へ」と報じた。毎日新聞デジタルが7月23日午前に掲載した記事では、「8月末までに表明」という見出しを取っている。「(石破氏は)自民党が8月にまとめる参院選の総括を踏まえ、同月までに退陣を表明する意向を固め、周辺に伝えた」としている。この記事は現時点でも毎日新聞のウェブサイトに掲載されている。

   だが9月3日現在も石破氏は首相を続投している。毎日新聞は、7月下旬の記事をどのように考えているのか。

   毎日新聞社の社長室広報ユニットは3日、「この記事は、複数の関係者からの情報をもとに、慎重に取材・確認を行った上で掲載しました。首相の進退を巡る自民党内の状況が定まっておらず、引き続き取材を続けています」と答えた。

   記事が掲載されるまでの取材過程については、「取材の経緯についてはお答えしておりません」としている。

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