GMの販売台数は日本で増加
そんなコルベットを愛好するクルマ好きは、日本にも少数ながら存在する。潜在的に存在するアメ車ファンをコルベットが掘り起こしたのか、日本でGMの販売台数は少ないながらも、増加傾向にあるという。GMジャパンも黒字基調で、「フォードのように日本から撤退することなどありえない」という。
それはGMジャパンが日本国内で「売れ筋」の車種に絞り込み、日本のユーザーに合った仕様に改めているからだ。かつてコルベットは左ハンドル仕様だけだったが、日本向けに右ハンドル仕様を輸入したところ、コルベットの販売台数は飛躍的に伸びたという。
現行コルベットのサイズも全長4630ミリ、全幅1940ミリ、車両重量1670キロと、かつての巨大で鈍重だったアメ車に比べれば比較的コンパクトになった。GMのように日本向けに車種を絞り込み、仕様も改めることで、アメ車が日本でセールスを伸ばす可能性はあるだろう。
コルベットは「古きよきアメ車」の代表格である。そのGMの対局には新進気鋭のテスラが存在する。「モデル3」はじめ、テスラの運動性能は高く、どれもスポーツカーといってよいほどだ。テスラの先進性は他メーカーと比較にならず、旧来のアメ車のイメージを大きく変えた。
そのテスラに対抗する形で、GMはSUVのEV「キャデラックリリック」を発売し、EV市場に売って出た。ベクトルの異なる新旧メーカーが存在し、覇を競いあっているのがアメ車の魅力だ。コルベットやテスラのように、他社にないクルマの魅力を高めることによって、アメ車が日本で伸びる可能性はあると思う。
(ジャーナリスト 岩城諒)