興行としてのプロ野球か、勝負としてのプロ野球か
こうした現行のCS制度への疑問については、元プロ野球選手出身の解説者たちも口を揃える。
巨人OBでDeNAの監督を務めた中畑清氏も「まず勝率5割に届かないチームはCS出場の権利なしとすればいい」(『スポニチアネックス』2025年9月2日)と述べ、プロ野球OBから同様の意見が多く出ている。
一方、「CSがなくなると、かつてのように夏場過ぎには消化試合になるチームが出てくる恐れがある。それで野球に対するメディアの扱いが減ると、野球界の衰退につながるのではないかと危惧しています」(『スポーツナビ』2022年1月25日)と述べるロッテOBの里崎智也氏のように、CSの興行価値を評価する声もある。
加えて「3位のチームが勝率5割以下だった場合や、一定のゲーム差以上開いた場合には、ファーストステージでも2位のチームに何らかのアドバンテージをつけていいと思います」(同前)とも述べている。
たしかに、近年のプロ野球観客数は安定して増加傾向にあり、2024年に過去最多を更新。これもCSが存在することで、10月までシーズンを楽しめるようになったことが大きな要因であることは間違いない。
一方でプロ野球は、一流選手たちが繰り広げる「勝負」を見るための場でもある。
たとえば、巨人OBでコーチも務めた篠塚和典氏のように、「日本シリーズは以前のようにリーグ優勝チーム同士の戦いとし、日本シリーズとは別にカップ戦などを開催することもひとつの手」(『Web スポルティーバ』2024年12月4日)という一歩踏み込んだ案を提示している解説者もいる。
ただし、里崎氏と同様「プロ野球は興行ですし、経済効果などいろいろなメリットもあるので簡単に解決できる問題ではありませんが」(同前)という大前提も述べている。
興行としてのプロ野球か、勝負としてのプロ野球か。いずれにしても、このままシーズンが進めば、オフに再び議論が巻き起こることになりそうだ。