参政党は2025年9月8日に記者会見し、元衆院議員の豊田真由子氏を党政調会長補佐として起用すると発表した。ボード(常任役員会)メンバーにも加わる。
豊田氏は厚労省出身。官僚時代はハーバード大学大学院に留学し、公衆衛生を学んだ。豊田氏は、神谷宗幣代表から「データやエビデンスに基づいた説得力のある政策」を期待されていることを明らかにした。ただ、神谷氏は「コロナ政策の検証とmRNAワクチンなどの中止」も主張している。こういった主張を「データやエビデンス」で裏付けられるかが焦点になりそうだ。
コメンテーターとしてワクチン政策解説も多数
豊田氏は12年の衆院選で埼玉4区に自民党から立候補し、初当選。2期目の17年6月、秘書に「このハゲー!」「違うだろ!」などと暴言を浴びせ、暴行を加えたことを週刊新潮が音声つきで報じ、自民党を離党した。この間、内閣府大臣政務官、復興大臣政務官などを歴任した。17年衆院選は無所属で埼玉4区から立候補したが、落選。その後はコメンテーターとして活動し、コロナ禍ではテレビでワクチン政策について解説する機会も多かった。
神谷氏によると、豊田氏は9月1日付で職員として入党。起用の理由を
「参政党は、これから政策をしっかりと練り上げていかねばならない。そういった中で、官僚の経験、そして議員の経験があるという方を一生懸命探しており、豊田さんとのご縁をいただいた」
などと説明した。
豊田氏は自らの不祥事について
「本当に自分の至らなさ、未熟さを恥じ入りながら生きてきた。こうした反省の上に立ってゼロからスタート、頑張らせていただきたい」
などと振り返り、自らの経歴について
「私は厚生労働省で長年仕事をしており、ジュネーブのWHO(世界保健機関)では、日本政府の担当の外交官として仕事もしていた」
と紹介した。
神谷氏は自民新総裁に「コロナ政策の検証とmRNAワクチンなどの中止」期待
さらに次のように話し、神谷氏から「データやエビデンスに基づいた説得力のある政策」の立案を求められていることを明かした。
「参政党ということに、ご疑問をお感じになられる方もいらっしゃるかもしれないが、神谷代表からは、そうした専門性も生かして、データやエビデンスに基づいた説得力のある政策というものを、もちろん党員やサポーター、ご支援いただいている方のお声も最大限くみ取りながら、どうやって実現可能な、そしてこの国と世界にとって良い政策というものを作っていけるかということをやってほしい、ということで、是非頑張りたいと思っている」
豊田氏の衆院議員時代のウェブサイトによると、ジュネーブ時代には「新型インフルエンザパンデミック等」を担当している。当時の政策課題のひとつがワクチン接種体制の整備だった。一方で、神谷氏は9月9日未明のポストで、自民党新総裁に期待する政策転換のひとつとして、
「コロナ政策の検証とmRNAワクチンなどの中止」
を挙げている。これらの折り合いがつくかが課題になりそうだ。
「候補者としてお招きしたという形ではない」
この日の記者会見では、次期衆院選の第1次公認予定者として39人を発表。この中に豊田氏は含まれておらず、豊田氏が選挙でどの選挙区に出馬するかについての質問が飛んだ。神谷氏は
「特に私の方から出てください、ということも言っていない。あくまで政策担当のスタッフとして入ってもらったということで、いきなり選挙出られると私はちょっと困るんですけど......」
「政策立案のところを、(政調会長の)安藤(裕)さんのサポートをしてやっていただきたい、ということ、官庁とのつなぎを色々とお願いしているので、候補者としてお招きしたという形ではない」
などと説明。豊田氏も
「地味に地道に頑張りたい」
「党の政策を作って、そこを通じて日本の国のために働きたい」
と話していた。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)