東北新幹線はトラブル多いのでは? 車両分離、クマと衝突、地震で脱線...利用者を巻き込む事態が頻発

   8月24日、東北新幹線E5系「やまびこ」で緊急ブレーキが自動で作動するトラブルがあった。

   このところ東北新幹線系統ではトラブルが多発している。7月には上野発盛岡行きの回送列車E8系の補助電源装置が故障、3月には上野~大宮間で「はやぶさ・こまち」が分離、2024年9月には仙台~古川間で「はやぶさ・こまち」が分離した。

   さかのぼってみると2024年3月に郡山で「つばさ」がオーバーラン、2024年1月には大宮~上野間で架線が垂れ下がるということも起こった(ただし、直接被害を受けたのは北陸新幹線の車両)。

   そのほかこまごましたことでも、東北新幹線はよく動かなくなっている。線路内にクマが入るなど、何かあったら列車が止まる状況が発生する。

   2021年2月と2022年3月の福島県沖地震では、長期にわたる運転見合わせが発生。2022年3月の際には新幹線の脱線事故も起こった。

   実はこれが、やっかいなのだ。

  • 東北新幹線「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」
    東北新幹線「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」
  • 2022年の福島県沖地震では、東北新幹線が脱線し長期間の運転見合わせが起きた
    2022年の福島県沖地震では、東北新幹線が脱線し長期間の運転見合わせが起きた
  • 東北新幹線「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」
  • 2022年の福島県沖地震では、東北新幹線が脱線し長期間の運転見合わせが起きた

原因はばらばら、どう考えたらいい?

   それぞれの事象には、それぞれの原因がある。地震が起こってその影響で高架橋が損傷したり、電化柱が倒れたりというのは、設備の老朽化ということが考えられる。E8系の故障には、電源装置の半導体に問題があるということがわかっている。しかもE8系の場合には、新型の車両である。

   線路内のクマは、クマが入ってしまうような状況をつくってしまったのが問題だ、新幹線の線路には、何物も立ち入らせないように厳重に高い柵が囲んでいるようにしているのに、そこを突破したのだ。

   ばらばらな原因のトラブル、どうしたら防げたのかを考える際には、技術の観点だけでは不可能だ。個々の技術はそれぞれ別個のものであり、天災が原因のトラブルもある。それらが複合的に要因となって一連の事態を引き起こしたと考えるのが妥当だろう。

   そこで、東北方面の新幹線が置かれた現状を考えてみる。

老朽化進む東北新幹線、メンテナンスの人手不足

   東北新幹線は、1982年6月に大宮~盛岡間が開業している。現在で43年目だ。国鉄末期に開業し、当初、最高速度は210km/hだった。現在は宇都宮~盛岡間に限り320km/hである。大きく向上する最高速度に対して、線路や設備への負荷は大きくなる。

   また2011年3月の東日本大震災以来、東北地方で余震とみられる地震が長く続き、それが鉄道施設に与えている影響は大きいと考える。

   実際に2度にわたる福島県沖地震では高架橋の橋脚に影響するという事態が発生している。それに対して事前に何もできなかったという事実はあるのだ。

   いっぽう、メンテナンス面では人手不足は近年課題になっている。車両設備だけではなく、架線を中心とした電気のメンテナンスが十分にできない状況にある。

   また新しいE8系でも不備が起こってしまうのは、コロナ禍で起こった半導体不足とそれにともなう質の低下が考えられており、半導体そのものの問題や、それをどう組み合わせるかを決める人の問題もあるといえる。

   そうなると、まっとうに安全で安定した運行ができないような体制になってしまったJR東日本が何らかの構造的問題を抱えており、それが東北新幹線の相次ぐ運行トラブル、さらには在来線でも頻発する各種トラブルに影響していると考えることも可能ではないだろうか。

   とかくこの国の人は構造的問題から目を背けたがる。JR東日本には東北新幹線の困難、自社の困難の原因が何なのかということをしっかりと見つめてほしい。(小林拓矢)


筆者プロフィール

こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)。

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