2025年9月14日、ボクシング世界スーパーバンダム級4団体統一王者・井上尚弥選手(32)らが出場するトリプル世界戦が行われる。そのチケットは、販売開始からわずか10分で完売したことも大きく話題になった。
ところが、定価1万円の席が転売サイトで10倍以上の価格で出品されるなど、「本当に観たい人に届かない」と多くのファンが憤りを募らせている。
人気イベントや限定品には、必ずといっていいほど起こる「転売トラブル」。佐藤美咲さん(仮名・40代)は、あるアーティストのライブで苦い経験を味わったという。
渋滞と長蛇の列の果てに待っていた「完売」のアナウンス
佐藤さんが楽しみにしていたのは、推しアーティストの野外ライブだった。とくに心待ちにしていたのが、「会場限定販売のミネラルウォーター」である。
「どうしても欲しかったんです。通販もないっていわれたら、並ぶしかないですよね」
グッズ販売の告知が出たのは公演の3週間前。前泊できなかった佐藤さんは当日の朝、東京から会場に向かった。しかし、途中で渋滞に巻き込まれ、予定より大幅に遅れての到着となってしまったという。
会場には着いたものの、物販エリアまでは予想以上に遠く、道もわかりづらい......。人の流れを頼りに10分ほど歩いてたどり着いた先には、すでに長蛇の列ができていた。
「こんなに人が多いのは、やはり車で来た人や宿泊組が、早い時間から並んでいたからだと思いました」
友人と急いで最後尾についたが、列はなかなか進まない。販売テントは3~4台ほど並んでいたが、レジが少なく対応に追いついていないようだった。
「どうしてこんなに時間がかかるのかと、不安で仕方ありませんでした。『売り切れたらどうしよう』と気が気でなかったんです」
1時間ほど並んだころ、場内スピーカーから次々と「完売しました」というアナウンスが流れ始めた。
「幸い、私の欲しかったミネラルウォーターはまだ残っているみたいで、それだけが希望でした」