「JKリフレ」と呼ばれる、10年以上前からある「萌え産業」がある。「リフレ」と称しているが、内容は女性従業員と個室でのテーブルゲームやハグや添い寝、コスプレ衣装チェンジなど本格的なマッサージ店とはほど遠い。以前は未成年がかかわり、過激なサービスも多く社会問題として浮上。人気店舗が次々と摘発された。現在でもJKビジネスの一環としてリフレは存在し続け、相変わらずグレーゾーン。未成年キャストは大幅に減ったものの、取り締まりの締め付けにより「抜け道」を見つけた店がさらなる闇を深めている。JKリフレの実態摘発が相次ぐ前は店舗を構えての営業が多く、風俗店と変わらぬサービスを提供する店に客が集中。若い子を好む男性がこぞって来店し、年間1億円の利益を出すケースも実際にあった。今となっては未成年の雇用をやめ、無店舗型(デリバリー)に移行したものの、内容そのものは相変わらず「クロ」い、と言わざるを得ない。過激サービスを提供する店は、基本的に無法地帯。室内の出来事は誰にも知られないため、女性従業員と相談すればいくらでも幅が広がってしまう。客からすると、この「直接交渉」が目玉であり、働き手もそれで稼いでいくので、お互いにウィンウィン。中身は完全にアウトだけれど、無店舗型で足がつきづらいのも関係して、現在は摘発が困難になっていることは問題だ。派遣先はレンタルルームかラブホテル、自宅。内容も風俗とほぼ同じ。決して安価ではなく、裏メニューを追加すれば相当な額だ。それでも客が絶えず、直接交渉というゲーム性が男性の心を激しく刺激するらしい。リフレは若ければ若いほど客付きが良く、寛容な女性ほどリピーターを作りやすい。稼ぎたい一心でアレもコレもOKすれば店も儲かり、客もうまいことハマってくれて......と売り上げを生み出す一連の流れが完成するため、摘発にさえ遭わなければ店の存続はいくらでも可能なのだ。働く女性たち若さという「ブランド」を活かし、狭い世界で稼ぐコツを見つければ、高額を手にできることがリフレの旨味。言い方は悪いが、飲み屋や風俗店と異なり、「素人」がウリとなると、高い接客テクニックや高嶺の花のようなオーラはいらない。すぐ高額を手にすることもでき、若くして月に数百万円を稼げばあっという間に業界へと染まり行く。リフレは効率よく高収入を得られるので、地下アイドルやコンカフェで稼げない女性の副業バイトにも選ばれがちだ。だが、一度この手の稼ぎ方をすると、多くの人が一般職には戻れない。勤務を経てセクシー女優やパパ活、風俗、立ちんぼなどに発展するのはありがちな話で、若いうちからお金のために手段を選ばなくなってしまう。さらに、「もっともっとほしい」と「でも苦労はしたくない」が度を超えると、犯罪に手を染めることもいとわない。若さゆえか、客の財布から金を抜いたり、待機所の私物がなくなる問題がリフレ界隈でよく浮上するのも、常識から外れていくことが原因なのだろう。こうした世界にどっぷり浸かりすぎていると、「ルールを守る」という当たり前の常識が頭から飛びやすいのか。最初からクロいのではなく、常識外の世界が彼女たちをこうさせる、と筆者はとらえている。運営側も儲け重視となれば、若い子が感覚を狂わせるのは大いに「ありがたい」。なかには、「ある程度の年齢を超えたり、もっと稼ぎたいならこちらへ」と別口の高収入バイトへ誘導する流れもある。このエスカレーターに乗れば最後、大人たちの敷いたレールの上を歩く繰り人形と化すだろう。若くして高収入など夢のような話だが、結局のところ若さだけを武器に得た金は「前借り」に過ぎない。限られた時間を削って手にしたものを有益なことに使えれば良いけれど、ハタチ前後で将来設計を綿密に立てる人など少数派だ。過半数以上が右から左へ流し、欲が深まるからこそさらなるグレー、いや、ブラックな事柄に手を染めていく。私自身もセクシー女優出身なので、夜職そのものを批判する気は全くない。しかし、JKリフレに関してはグレーゾーンだからこそ簡単に足を踏み入れてはならない。なかなか難しいけれど、若さを切り売りすることへのリスクを若い子たちには理解してほしいと思うのだ。【プロフィール】たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。
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