「ネタ消費」としてのラブブの魅力
なぜラブブがここまで支持されたのか。その背景には、従来のキャラクター消費とは異なるいくつかのポイントがある。
先に挙げたデザインの中毒性と、ブラインドボックス販売や限定コラボなどの射倖性。そしてそれらを包括するストーリー性である。
「映える」サイズとデザインは、SNS時代の「ネタ」にピッタリのものだった。
何が当たるかわからないガチャ的要素は、消費を「体験」へと変えた。外れ・当たりすらSNSで共有され、購入行為そのものがストーリーとなり、コンテンツ化したのだ。
言い換えれば、ラブブはSNSが普及した2010年代以降に広まった「ネタ消費」の潮流に位置づけられる存在だ。
ネタ消費とは、人々が「モノそのもの」よりも、「それをどう語れるか」「どう共有できるか」を重視して消費する行動を指す。
ラブブは「使うもの」ではなく「話題にするもの」、もっといえば「会話の燃料」へとシフトしているのだ。人々はラブブそのものを欲しているのではなく、「ラブブを持っている自分」という記号を欲している。
一方で、このネタ消費経済には宿命的な弱点もある。たとえばタピオカドリンクなどのように、語るべきネタが尽きれば、消費は急速に冷めることだ。